こんにちは、免疫生物学分野(旧 生体防御学教室)4年生の宮下です。
私が所属する研究室では、研究に必要な遺伝子改変マウスを飼育しています。
今回は、その管理に欠かせない「ジェノタイピング」という作業を紹介します。
遺伝子改変マウスと聞くと特別な見た目を想像するかもしれませんが、実際は普通の見た目であり、目的の遺伝子を持っているか、または目的の遺伝子改変が入っているかどうかは分かりません。そこで、マウス1匹1匹のDNAを調べて確認します。この確認作業がジェノタイピングです。
ジェノタイピングは、大きく分けると、①DNAを取り出す、②確認したいDNAの一部を増やす、③増やしたDNAを確認する、という3つの工程で行います。
工程①では、マウスのしっぽから“必要最小限”の組織を採取し、それをアルカリ溶液で処理することでDNAを抽出します。

▲図1 マウスのしっぽ由来の組織
チューブの底にある白い”モヤモヤ”が、アルカリ溶液で処理された組織です。
工程②では、PCR法という方法で、確認したいDNAの一部を増やします。PCR法は、“DNA”という「体の設計図」中から、知りたい一文だけを何度もコピーして読みやすくするようなイメージです。

▲図2 チューブをセットしたPCR装置
PCR装置では、温度を変化させて反応を進め、確認したいDNAの一部を増やします。
工程③では、電気泳動という方法でDNAを確認します。これは、PCR法でコピーしたDNAを、大きさごとに分けて確認する方法です。目的の遺伝子や遺伝子改変がある場合には、決まった位置にDNAの帯が見えます。この帯を手がかりに、どのマウスが目的の遺伝子や遺伝子改変を持っているかを判断します。

▲図3 電気泳動法の結果
15匹分のDNAの帯が見えます。この帯は「バンド」と呼ばれます。一番左の列はDNAの長さを比較するための目安であり、各サンプルのバンドの位置を確認することで、目的の遺伝子や遺伝子改変の有無を判断する手がかりになります。
このように、ジェノタイピングでは、1匹ずつDNAを確認することで、研究に必要な遺伝子改変マウスを正確に管理しています。
ジェノタイピングは表に出ることの少ない工程ですが、1回あたり3〜4時間かかり、結果がうまく出なければやり直しになることもあるため、根気が求められます。毎週継続して行うため慣れて油断が生じやすいものですが、研究に必要なマウスを正確に管理し、実験結果の信頼性を支える上で欠かせません。こうした地道な確認の積み重ねを大切にしながら、今後も日々の作業に丁寧に取り組んでいきたいと思います。