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生成AIについて~自力で書くことの意義

准教授 桑原 考史(動物共生経済学分野)

 生成AI、使っていますか?
 様々な使い道があり、普段利用されている方も多いと思いますが、今回は文章の作成に絞って、教員の立場から話をしてみます。

 大学生活では文章を書く機会がたくさんあります。講義や実習のレポート、就職活動のエントリーシート、卒業論文などなど。分量は様々ですが、例えば動物科学科の必修科目「動物飼育管理実習」のレポートで求められる分量(文字数)は19,200字以上となっています(シラバスを参照)。このA-reportが1,300字弱ですから、その15倍近い分量を書く必要があります。

 自分で文章を書くのは大変ですが、生成AIに適切なプロンプトを与えれば、長い文章も簡単に出力できてしまいます。もちろん、レポートや論文に出力結果を「そのまま・断りなしに」使ってはいけません。本学は「生成AI利用ガイドライン」を定めており(私を含めて複数の教員がガイドラインの作成に携わりました)、そこには次のように書かれています。

  • 「生成AIの出力結果を参考にするときは必ず別の情報源(教科書、専門書など)にもあたり、根拠の確認や関連情報の探索を行いましょう。」
  • 「講義課題資料、実習レポートや研究報告の作成において生成AIを利用した際は、その事実(利用日時、利用サービス名、入力事項の概要)を必ず明記しましょう。」
  • 「生成AIを過信せず、自身で作成した文章の校正(誤字等の確認)を目的として利用しましょう。」
  • (これらの記述はガイドラインのほんの一部です。ガイドラインは大学ウェブサイトに掲載されていますので、アクセスしてみてください。)
  •  生成AIを補助的に使うとしても、文章を書き、整え、仕上げるのは皆さん自身でなくてはならない、ということです。

 さて、そのような作業には大変時間がかかります。面倒だと思われる方も多いでしょう。なぜそんな面倒なことをしなくてはならないのでしょうか?
 調べた結果を箇条書きで並べたり、図にしたりすれば十分で、文章など書かなくてもいいのでは? 誰しも一度や二度、こんな疑問を抱くと思います(私もそうでした)。

 最近、それに対して明快な回答を与えている新聞記事を読みました(「AI時代の大学 責任と誇りの主体育てよ」ポール・ケイ・マツダ(アリゾナ州立大学教授)、日本経済新聞、2026年3月30日朝刊、25面)。引用して紹介します。

「書く過程そのものが思考であり、問いを立て、資料を選び、角度を定め、構成を練り直す中で知識は形づくられる。
 書きながら初めて、自らの立場の曖昧さや論理の弱点に気づくことも少なくない。推敲の過程で問いが洗練され、主張の輪郭が定まる。
 つまり、書くという行為は考えを生成し、練り直す営みである。」

 これに私から付け加えることはほぼありません。書くことは、頭の中にある知識や情報を紙やモニターに写し出すこと「ではなく」、知識や考えを作り出す行為そのものである、ということです。だからこそ、自分の力で書くしかないのです。

▲当分野では「書くために読む、読むために書く」を
モットーにゼミを行っています。




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