教員からのレポート Report

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アニマルウェルフェアをめぐる最近の動き

教授 植木 美希(食料自然共生経済学教室)

 皆さん、アニマルウェルフェアという言葉を聞いたことがありますか。日本語では動物福祉・家畜福祉とも訳されます。

 さて大学周辺には様々なスーパーマーケットがありますが、最近、大半のスーパーマーケットで平飼い卵を見かけるようになりました。
では平飼い卵とは、どのような卵をいうのでしょうか。

 実は日本で飼育されている鶏の90%以上が、狭いケージを何段にも重ねたバタリーケージで飼育されています。しかしながら最近は、そのような狭いケージで飼育され得た卵よりは自由に動き回れる平飼い鶏舎で飼育された鶏が産む卵、すなわち平飼い卵を好む消費者が増えています。この鶏の行動を制限しない飼育方法、すなわち動物の本来の行動様式に沿った飼育方法に配慮することがアニマルウェルフェアです。欧州やアメリカ等の先進国では家畜やペット、実験動物など全ての動物をこのアニマルウェルフェアに配慮して飼育しようという考え方が主流になりつつあります。
 既に欧州(EU)では2012年にこのバタリーケージ飼育を禁止しています。欧州のスーパーマーケットに行くと大半の卵は平飼い、放牧(屋外の草地にアクセス可)、そして鶏が食べる飼料は農薬や化学肥料を使用せずに育てた有機飼料を与えた有機卵です。改良型ケージは残されているのですが、ケージであることは変わらないので殻付き卵としての販売は激減しています。国やスーパーによっては全く販売されていません。
 さらにEUでは2027年には全ての飼育動物をケージフリーにする運動“End the Cage Age”欧州市民イニシアチブが成立しました。なんと市民団体が140万人もの署名を集めて、E U委員会に提出し認められました。これはネット社会だから可能になったという側面もあります。そうすると現在認められている鶏の改良型ケージも、フォアグラやウサギ、牛、豚等全ての家畜を狭いケージに閉じ込めて飼育することが不可能になります。このように飼育動物の世界は大きく変わりつつあります。毎日の生活に欠かせない卵ですが、世界の動きが分かりますね。

 私の研究室ではこのような世界の新しいフードチェーンの動向を調査研究しています。

 個人的には最近、保護犬の里親になりました。研究室では食料や農畜産業だけでなくペットの問題を卒論テーマとする3、4年生が多くなっています。私自身も改めてペットと人間の関係について考えています。こちらの話題はまた次回、お伝えできればと思います。

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