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これからの農学・ことに畜産学に思うこと

教授 長田 雅宏(システム経営学教室)

 食料高騰の話題が毎日ニュースに取り上げられ、国民は不安を抱えています。わが国の農業は、1970年代までは自給率80%を誇る自給国でしたが、あっという間に38%となり25年の間、足踏み状態が続いています。高村光太郎の詩、「食うものだけは自給したい。個人でも、国家でも、これなくして真の独立はない」は、授業でも学生に問いかけてきた、私の農業への思いの原点です。

 私が農学部に入学した時代は、農業は希望と活気に満ち溢れ、教員も学生もあらゆる可能性に挑戦していました。農業の現場で14年間、その後は本学に務め、農業政策や畜産に関して教鞭をとり12年、実習担当も含めると20年となりますが、農業の進展の兆しは見えません。現代人には農業の大切さが伝わらなかったのでしょうか。振り返ると自分の力の無さ、不徳の致すところです。

 3月末日をもって本学を退職し、専門職大学に移ります。専門職大学は大学令とは異なり、実習・演習に重きを置いて農業の担い手を育成する大学です。専門性を活かし、農業の現場において即戦力となる人材を育てなければなりません。私はこれまで、実学の大切さを教示し、実践に重点を置いた農業教育を行ってまいりました。特に農業実習ではこれでもかと、叱咤激励を浴びせながら動物と共に、力尽きるまで実習を行いました。そんな土臭い私と多くの学生が同じ釜の飯を食べ、楽しく過ごしてきました。まさに人材育成の現場です。在学生には是非とも現場に出て、日の出とともに作業をして、動物と触れ合い、気持ちを汲み取れる立派な管理者になっていただきたい。そして、日本の食料生産の根幹となる畜産を盛り上げていただきたいと思います。最後に、本年度実施した大学ブランド商品開発支援事業においてニチジュウ飲むヨーグルト、ニチジュウアイスミルクは、付属牧場の念願であった六次産業化を形にした乳製品です。日本中のどこにおいても買えるように羽ばたいて欲しいです。本学の可能性はまだまだこんなものではありません。素晴らしい大学ですからみんなで育んでください。いつまでもエールを送り続けております。

▲ニチジュウ飲むヨーグルト

▲ニチジュウアイスミルク

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