学生レポート「オーストラリア・スタディーツアーに参加して」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

オーストラリア・スタディーツアーに参加して

 学外実習のひとつであるオーストラリア・スタディーツアーは、2年次の夏に各学科の希望者が参加します。このツアーでは動物病院、野生動物公園、と畜場、農場の見学や現地での講義を通して、動物の生態や扱い方、野生動物保護、そして食についてを学びます。獣医学科では「学外実習」、獣医保健看護学科では「野生動物保護管理学実習」、動物科学科では「国際交流実習」、食品科学科では「食品セミナーⅠ」として扱われます。

獣医学科2年次 小向井 勇希

 今回のオーストラリア・スタディーツアーで訪問した施設や場所の中で特に印象に残ったのはDinmoreと畜場の見学でした。なぜなら、以前から普段食べる肉がどのようにして生産されるのか、それを実際見ることでどのように思うのか興味があったからです。
 と畜場での獣医師の役割は『食の安全』と『動物の福祉』を守ることです。科学的に厳格な検査を行って、基準を満たさないものを世の中に流通させないという非常に重要な役割を担っています。最近では、食品の安全性を確保するためには生産者(農場)から消費者(食卓)まで一貫した安全管理をするという“From Farm To Table”とよばれる考え方が一般的になってきており、食の安全性の確保における獣医師の責務がますます重要となってきています。同時に、私たちがいただく肉の主体である動物の福祉(Animal welfare)も守らなければなりません。と畜場で働いている従業員が動物を適切にハンドリングしているかを監視し、指導していました。
 と畜場内では、出荷されてきた牛が検査を受けるところから、実際に肉になるまでのほぼすべての工程を見ました。最初の方の工程で牛を気絶させる方法は、牛が感じる痛みを少しでも小さくするための工夫がなされていました。この他、体から血を抜く作業や、皮をはいでいく作業は衝撃的なもので、今でも鮮明に記憶に残っています。様々な部位に切り分けられた後は、私たちがスーパーなどでよく見る肉になっていました。
 普段「いただきます」と言葉では毎日言っているけれど、その意味をよく考えたことはありませんでした。しかし、今回の見学を終えて食べ物をいただくという本当の意味を理解し、あらためて「いただきます」の大切さを実感することができました。右下の写真は見学を終えてから食べた肉です。よりいっそう「いただきます」という気持ちを噛みしめた夜ご飯になりました。

獣医保健看護学科2年次 山口 雛

 私は2018年9月7日から17日までの11日間に渡り、オーストラリア・スタディーツアーに参加しました。この実習ではクイーンズランド大学の付属動物病院の見学や動物のハンドリング講義など動物看護師に関すること、野生動物の保護施設訪問や観察など野生動物に関することを学びました。オーストラリアでの動物看護師の仕事の幅広さや、野生動物保護に対する意識の高さには驚きました。また、牛が食肉に加工されるまでの過程をと畜場で見学したことは、とても衝撃的で食のありがたさを強く再確認した貴重な体験でした。
 実習を通して普段日本では経験できない多くの将来に役に立つ知識を得ることができました。また、海外と日本を比較することで、今までとは異なった新しい視点から物事を見るようになりました。今後この実習で学んだことを生かして将来に繋げていきたいと思います。
 今回お世話になった先生方、現地ガイドの方々なしではこのような素晴らしい経験はできなかったと思います。この機会をいただけたことに心より感謝いたします。

動物科学科2年次 鈴木 愛果

 私は2018年9月7日から11日間にわたり開催されたオーストラリア・スタディーツアーに参加しました。
 一番印象に残っていることはDinmoreと畜場を見学したことです。そこでは1日に3,500頭もの牛が扱われ、日本をはじめ、世界各国の肉の消費に対応していました。また、肉の衛生管理が徹底していることやと殺から枝肉の加工に至るまでの工程を間近で見ることができ、命の重さと大切さを身に染みて感じました。
 エミュー牧場では飼育施設を見学し、エミューの生態について詳しく知ることができました。そしてエミューの油脂が抗炎症作用のあることを教えられ、肉、卵、羽などのほとんどを加工し、余すところなく利用していることに驚きました。さらに、今回のツアーを通して、オーストラリアの野生動物、特に都市の開発にともない生息地が減少していることや、アボリジニによるブーメラン体験など、幅広く学ぶことができました。また、日本とオーストラリアの考え方などの違いも発見できてとても面白く、貴重な体験をすることができました。
 最後に、引率された時田先生、植木先生、そしてこの実習に協力して下さったすべての方々に深く感謝し、オーストラリア実習での貴重な経験や学んだことを生かして、これからの勉強に役立てていきたいと思います。ありがとうございました。

食品科学科2年次 髙波 友梨子

 私は、2018年9月7日から9月17日にかけて実施されたオーストラリア・スタディーツアーに参加しました。今回のオーストラリア実習では、普段なかなか訪れることのできないところへ行くことができ、現地では生産から流通、加工、消費までを通して有機農場やワイナリーなどでお話を伺い、とても貴重な体験をすることができました。中でも一番印象に残ったのは、6日目に行った食肉処理場です。普段、日本に輸出されている多くのオージービーフはこの施設で加工されていることを知り、施設の大きさに圧倒されました。また、同時に講義を通して衛生面でのリスク管理にも力をいれていると聞き、大規模な施設での衛生管理体制にも興味をもちました。加えて実習では食品に関することだけでなく、オーストラリア固有の動物の生態や保護に関することも学ぶことができました。
 初めは英語で人と話すということにとても緊張しましたが、日本の文化や食べ物に興味を持って話しかけてくれる人が多く、ボディランゲージを駆使しながらコミュニケーションをとることができ、とても楽しかったです。英語が苦手でもとにかく伝えようと思う気持ちが大切なのだと感じました。今回のオーストラリア実習を通して学んだ多くのことを、今後の勉学に活かしていきたいです。
 最後に、このツアーでお世話になった先生方やスタッフの方々に心から感謝いたします。ありがとうございました。