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日本獣医生命科学大学 FD委員会主催講演会
平成24年度第1回FD講演会「知にこだわった大学アクティブラーニング型授業」を開催

平成24年度第1回FD委員会講演会  平成24年度第1回FD講演会が、去る7月30日(月)の午後4時から6時まで、本学B棟315室で開催された。学期末試験直前の多忙な時期にも関わらず、学長をはじめ教員71(60.2%)名が参加し、過去最高の参加者であった。
 今回は、京都大学高等教育研究開発推進センター准教授の溝上慎一先生に「知にこだわった大学のアクティブラーニング型授業」という演題で講演をしていただいた。溝上先生は、「大学生の学びと成長」、「アクティブラーニング」などの高等教育がご専門で、「大学生の学び・入門―大学での勉強は役に立つ」(2006年有斐閣アルマ)、「現代青年期の心理学―適応から自己形成の時代へ」(2010年有斐閣選書)などの多くの著書をご執筆である。今回の講演では、学生に自主的な学習態度を身につけさせるための教授法として最近取り入れられている「アクティブラーニング型授業」に関する新しい学びの方法等をお話しいただいた。
 まず、近年の大学教育が、「教える」から「学ぶ」へと変化しており、「学生が何を学んだか」を指標として、FDや教育改善を行う必要があるという現状を紹介された。特に、学生には、知識・理解だけではなく、コミュニケーションスキル、論理的思考力、問題解決力、チームワーク、リーダーシップ、倫理観、統合的学習経験と創造的思考力等の多くの能力を「学士力」として身につけることが求められている。このような多くの能力を身につけるためには、講義の中にアクティブラーニングを入れることが不可欠であると説明された。
 「アクティブラーニング型授業」とは、どのような授業を指すのであろうか。アクティブラーニングは、大変難しく考えられがちであるが、これまでの一方向的な知識伝達授業ではなく、「学習者の能動的な学習を取り込んだ双方型授業」として使用され、レポート、ディスカッション、宿題、小テスト、質問票等のスキルを用いることで可能であると説明された。また、本学でも既に設置されている「クリッカー」を使用することが、効果的であると推奨された。
 また、最近、「アクティブラーニング型授業」が増えているが、知識の活用能力が強調され過ぎていて、知識内容を軽んじている実践例によく出会い、誤解されているケースが多いと指摘された。そこで、知を重視したアクティブラーニング型授業の実践例(授業モデル)として、溝上先生が開講している「自己形成の心理学」(90分)が紹介された。①前回のミニレポートからの質問受け。(10分)②前回の復習として、クリッカーを使った小テストとピアディスカッション(授業に先立ち、学生に質問を出し、学生同士で討議する。)(10分)③授業内容の講義(40-45分)、④ミニレポート(本授業で理解したことを自分の言葉で書く。)(20-30分)のステップで実施している。この授業を実施するためには、教科書をしっかり決めておくことや、ピアディスカッションでは、「正解が無く、学生に考えさせる課題」を用意することが大切であると解説された。非常に具体的なモデルを出していただいたので、本学でも活用可能であるとの印象を受けた。
 さらに、アクティブラーニング型授業の実施する際の留意点として、「授業で学生の学習気分を作ってあげること」、「ディスカッションの形式を決めること」、「ディスカッションの課題が具体的であること」、「学生をよく知ること」等、先生が実施して気づかれたノウハウが紹介された。
 講演後には、参加した教員から講演内容に対して多くの質問が出された。質問では、「成績評価」、「教授できる知識量」等いくつかの課題も浮き彫りにされたが、学生に自主的な学習態度を身につけさせるための教授法として、有効であることが確認された。2時間があっという間に過ぎてしまい、大変有意義な時間を過ごすことができた。

 講演会に参加して下さいました先生方に厚く御礼申し上げます。今回から講演会に対するアンケートを実施しました。アンケートのご回答を参考にして、先生方にとって魅力的な講演会を企画してゆきますので、今後もご参加をよろしくお願いいたします。FD活動へのご協力もよろしくお願いいたします。
(FD委員会委員長 西村敏英)