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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

【プレスリリース】【日本獣医生命科学大学×26Kブルワリー×ケーニッヒ】柴田昌宏教授らがビール製造時に発生する「麦芽かす」の飼料化に成功、肥育した肉用牛のソーセージが商品化 — 廃棄麦芽が繋げる武蔵野市の地産地消

 本学の応用生命科学部の柴田昌宏教授(動物栄養学教室)らはクラフトビール醸造所26Kブルワリー(武蔵野市)と共同で、ビール製造時に発生する廃棄麦芽「麦芽かす」を牛の飼料として活用するための研究を2018年から推進してきました。このたび、麦芽かすで肥育された肉用牛が精肉店ケーニッヒ(武蔵野市)によってソーセージ「むさしのモルトフランク」として商品化され、8月から販売が開始されました。

【プロジェクト発足の背景】
 ビール製造においては年間約2.1トンの麦芽が使用されており、麦のエキスを抽出した「麦芽かす」は産業廃棄物として有償で廃棄されています。
 これを何かに利用できないかという相談を受け、家畜飼養学について研究を行っている本学の柴田教授(動物栄養学教室)は飼料化を提案しました。2018年からクラフトビール醸造所26Kブルワリーと共同で、麦芽かすを牛の飼料として活用するプロジェクトに取り組んできました。
 また、日本における肉用牛の肥育は、必要となる穀物飼料の約9割を輸入しており、麦芽かすを使った飼料の利用は飼料自給率の改善につながります。自給飼料で牛を飼うことができれば、輸入に依存することなく自国で飼料を賄うことができ、SDGsの達成にも寄与する結果となります。

【経産牛を対象にプロジェクト実施】
 プロジェクトでは、研究室の学生が週に1回、ブルワリーから回収した廃棄麦芽の成分を分析しました。分析データに基づいて、不足する栄養成分を他の飼料原料から補うなど試行錯誤を繰り返し、理想的な飼料にするための研究および給餌を行いました。
 給餌は同大の付属牧場富士アニマルファームの経産牛(出産を経験した雌牛)を対象としました。繁殖能力が低下した経産牛も大切な資源であり、付加価値を付けるために麦芽かす飼料での肥育を試みました。なお、麦芽かすを使用した飼料が肉質へ及ぼす影響については不明であり、今後の研究課題だと言えますが、今回の取り組みがよりおいしい肉質を目指すためのファーストステップとなることが期待されます。

【ソーセージとして商品化】
 2022年10月に、麦芽かすによって肥育した肉用牛が出荷され、このたび、武蔵野市の精肉店ケーニッヒがソーセージ「むさしのモルトフランク」として商品化しました。地元の大学と企業が連携した地域協業、地域循環モデルとも言えるソーセージは、今年8月から販売が開始されました。

■「むさしのモルトフランク」販売情報
【販売開始日時】
 2023年8月より下記店舗にて販売開始
【販売店舗】
●店舗提供:OND武蔵境
 〒180-0023 東京都武蔵野市境南町3丁目2
 TEL:0422-38-5500