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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第146号:動物科学科2年次 農場実習に参加して

辻本 射芳(動物科学科 2年次)

2015/09/29 更新
 2年次となって初の付属牧場富士アニマルファームでの農場実習に参加しました。実習1日目の午前中は、吉村牧場長からのアニマルファーム概要説明と有村准教授による衛生管理に関する特別講義がありました。講義内容は主に口蹄疫のお話しでしたが、畜舎に入る前に我々学生が押えておくべき点がいくつかありました。
 そして午後から、畜舎において品種の説明、畜舎・付帯施設の説明、犬舎では犬の散歩とエサやりをしました。1日目の最後に『和牛牛肉の振興策について』という課題で畜産振興に関する討議を行いました。現在、日本の霜降り和牛の精液が海外に流通し、いわゆる「wagyu」が国産和牛に対して半額以下で日本に入ってきています。さらに、TPPで輸入牛肉の関税率が38.5%から9%に下がってしまったら…。安く美味しいお肉が食べられるのですから日本での国産牛消費が落ち込むのは目に見えています。そこで、これに対する対応策を班に分かれて検討しました。

 実習2日目午前中の肉牛堆肥では、肥育牛の給餌とともに、笑顔の素敵な牧場スタッフの寺岡さんが質の良い堆肥作りの話しをしてくださいました。そして動物管理については、獣医学科の山田特任教授により、もくしの使い方と牛のTPR(体温、脈、呼吸数)のはかり方を学びました。続いて栄養・繁殖学では、牛島教授のご指導により、飼料に関する実習と直腸検査を行いました。そして馬学、乗馬、夜には昨日の畜産振興に関する討議結果の発表を行いました。

 実習3日目の午前中は、搾乳、乳質・臨床検査における乳房炎牛の牛乳の状態観察、PLテストと乳房炎原因菌の培養と同定、緬羊毛刈を行いました。特に毛刈では、羊を保定して皮膚すれすれで毛を刈るのがとても楽しかったです。続いて午後の栄養・草地管理。なぜ日本は輸入飼料に依存するのか、小澤教授は学生に問いかけるように草地の上で話してくださいました。また、硝酸態窒素濃度の高い飼料の給与制限と簡単な飼料中の硝酸態窒素濃度の測定実験も行いました。さらに、鶏学では採卵鶏の保定、体温と血糖値の測定を行いました。

 実習最終日の資源循環の講義では、なかとみ牧場の中島邦造さんが土から草・家畜・人へと自然循環する酪農の魅力を話してくださいました。『まず牛糞を素手で掴め』という言葉が、強烈に印象に残っています。最後に、牧柵のペンキ塗りで全ての実習は終了しました。1、2 年次でも自ら望めば実習ができるチャンスは多くあると思いますが、これほどきめ細かく1つ1つの仕組みを専門の先生方に説明していただける機会はなかなか無いと思います。実習の最後に吉村牧場長が「私たち牧場スタッフはまたこの後の実習のため毎日働きます。皆さんはこの後どう日々を過ごすでしょうか。」とおっしゃいましたが、私は畜産分野の学生として、常に現場を意識しつつ日々学業に励んでいきたいと思います。最後になりますが、このような貴重な機会を与えてくださった、先生方、牧場スタッフの皆様、本当にありがとうございました。