【臨床研究の概要】
炎症性腸疾患(IBD)は慢性的な下痢や嘔吐、食欲不振といった症状がみられる消化器疾患です。多くの症例は食事療法やプレドニゾロンをはじめとする免疫抑制薬の継続的な内服によって臨床症状の消失や緩和が得られますが、免疫抑制薬に治療効果を示さない症例や副作用の問題から継続的な内服が難しい症例が存在します。しかし、このような難治性IBDに対する有効な治療法は確立されていません。
間葉系幹細胞(MSC)は抗炎症作用や免疫調節作用に優れた機能を発揮する幹細胞のひとつです。これまでの研究から、ヒトを始め犬や猫などの様々な疾患において、その治療効果が期待されています。本学付属動物医療センター消化器科では、犬の難治性IBDに対する幹細胞治療の臨床研究を実施しております。
【対象となる患者】
食事療法や免疫抑制薬による標準的な治療では十分な治療効果がみられない症例を対象としています。そのため、本学もしくはかかりつけ医において下記の項目が確認された動物が対象となります(消化器科において幹細胞治療が適応可能か判断させていただきます)。
1. 2週間以上にわたる慢性的な消化器症状がみられる
2. 消化管内視鏡検査において病理組織学的にリンパ球形質細胞性腸炎がみられる
3. リンパ球クローナリティ検査によってモノクローナルなリンパ球の増殖がみられない
4. 免疫抑制薬に対する治療反応がみられない/副作用の発現から継続が難しい
【問い合せ先】
rinri-shinsa(@mark)nvlu.ac.jp
【関連リンク】
手嶋 隆洋(研究者情報)
獣医内科学研究室
* 原則として、治療開始前に受診いただき動物の状態等を診察させていただく必要があります。幹細胞治療に関する詳細(治療費や治療回数など)は受診時に担当医へご確認ください。
* 本学付属動物医療センターは一般社団法人動物再生医療推進協議会へ「再生医療及び細胞療法実施施設」の届出を行っています。