▲左から寺田畜産学会理事長、柳原さん、小澤教授
本学大学院応用生命科学専攻博士前期課程2年の栁原奈央子さんが、麻布大学で開催された日本畜産学会第125回大会で優秀発表賞を授与されました。
栁原さんは「酪農家のライフスタイルと1日1回搾乳の受容性に関する研究」と題して口頭発表を行い、その内容とパフォーマンスが高く評価されました。この研究は当教室が本学と学術協定を締結している北海道釧路丹頂農業協同組合をはじめとする、多数の北海道酪農家に対して実施したアンケート・ヒヤリング調査を分析したものです。
柳原さんはニュージーランドで展開している「一日一回搾乳(Once A Day milking; OAD)システム」に対する国内酪農家の認知度および関心は低い値に留まったが、OADを経営に積極的に導入したいとする酪農家層の存在を明らかにしました。これら酪農家の特徴は①飼養頭数規模が小さく、②搾乳牛一頭あたり年間乳量が低く、③今後の経営展開が縮小傾向であること、また、④労働時間の短縮を強く希望する傾向が見られることにあります。また、OAD導入に関心がある酪農家においても、削減された労働時間を「ワークライフバランス」の改善に供されるのではなく、搾乳労働以外の農作業に充当されることが示唆されました。
本研究は勤労者よりも長い酪農家の労働負担を軽減する有効な方策であると考えられます。今後の研究深化と生乳生産現場への技術普及が期待されます。
動物科学科 教授 小澤壯行(システム経営学教室)