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カタツムリがだらけきった話

3年次 本橋 小春(運動科学教室)

▲健康的な食事をとるカタツムリ

 突然だが、私はカタツムリが好きだ。よって今回は、私がカタツムリにしてしまった「ある失敗」について書く。

 私は5年前にカタツムリを飼い始め、繁殖も毎年行なっている。1番初めに飼った個体の血筋は今でも続いており、現在自宅にいる若いカタツムリは、1番初めの個体の来孫(ひ孫の孫)にあたる。

 野生のカタツムリはコケ、落ち葉、木の芽などを食べている。一方、我が家のカタツムリの主食は、レタスである。カタツムリは、ヒトのように歯茎から歯が一本一本生えている訳ではなく、歯舌(しぜつ)という、細かい突起のついた舌のような器官で餌を削り取って食べている。レタスが好物だが、似たような野菜の白菜になると、急に食いが悪くなる。おそらく、白菜のえぐみを嫌っているのだろう。カタツムリは口の上にある「小触角」で味や匂いを感じるが、彼らの味覚はヒト並に発達しているのではないかと思うことがある。カタツムリが一番好む果物は、私が知っている限りではバナナである。彼らは甘い物に目がない。だが、ある失敗を経て、現在はカタツムリに甘い物を与えるのは控えている。

 カタツムリは殻を背負っているため、殻の素になるカルシウムの給餌が欠かせない。ある時、私はカルシウム源をそれまで与えていた卵の殻から、小鳥用のボレー粉に変更した。ここで特筆すべきは、その商品にハチミツが入っていたことである。そして2ヶ月ほどが経った時、あることに気がついた。カタツムリが、ムッチリしている。正確に言うと、「殻口が軟体部にめり込んでいる」状態になっていた。肉がつきすぎて軟体部全体を殻に入れることができない個体も居た。そう、カタツムリ達はいつの間にか太りすぎ、だらけきっていたのである。

 私は自分の行いを猛省した。ハチミツ入りのボレー粉を与えたばかりに、彼らはメタボになってしまったのだ。考えてみれば、野生環境に比べると狭い飼育ケースの中で、本来口にするはずのない甘いものを食べ続けていれば、太るのは当然だ。私はボレー粉を給餌するのを止め、カタツムリ達は元の体型に戻った。

 この話から得られる教訓は一つ、「飼育している生き物の健康管理は、飼い主にしかできない」ということである。健康管理を怠れば、異常に気付くのが遅くなる。定期的に健康チェックを行うことで、長くその生き物と付き合っていくことができるだろう。

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