ニュース news

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

「上野動物園実習体験記」 5年 堀内 映見

上野動物園 動物園で働きたいと考えており、どのようなお仕事をされているのか大変興味を持っていました。そのため、今回の実習は私にとって貴重な体験となりました。実習期間中、主に入院動物の給餌、掃除を手伝わせていただきました。この仕事から、飼育の基本を学べたと思います。動物種に合った餌の用意や環境の整備についてです。
掃除の際は次の点に注意しなくてはなりません。まず、セカンドキャッチをしっかりするということです。これは動物園全体において、徹底を義務付けられている事項で、動物を逃がすことは絶対にあってはならないことだと肝に命じられました。掃除中に限らず、動物がいる部屋に入る際は、状況をしっかり把握し、中の人と十分に確認しあう必要があります。次に、動物の居場所を確保しながら掃除を行わなければなりません。これは、掃除によって動物を追い詰めてしまわないように、行き場を作りながら行うということです。野生動物では、空間を狭められることで、パニックに陥ることもあります。そして、各動物種に合わせて、木のチップや乾草を敷いたり、水を溜めておいたり、麻袋を置くなど、居心地のよいように環境を整えました。餌は動物の食性、活動時間、また餌の大きさを考えて準備します。餌に薬を混ぜて投薬することもありました。餌をしっかり食べているかどうか、量の確認も重要です。
シチメンチョウ、シナガチョウの治療の際には保定を手伝わせていただきました。今までこれほど大きな鳥の保定をしたことはなく、とても貴重な経験となりました。動物に処置をする際に保定はとても重要で、先生方や飼育員さんの保定の仕方を見させていただいて、本当にすごいと思いました。動物の体の仕組みを理解した上で、目的に合わせて、しっかりと保定しなくてはならないと学びました。
入院動物の治療以外に、巡回中に診察や治療を行ったり、往診の依頼を受けて診察に向かったり、病院では検疫や剖検も行われていました。巡回の時間のみの動物観察では得られる情報量が少ないため、飼育員さんから聞いて情報を得ることが大切だということでした。例えば、餌を食べる量、糞便の量と性状、いつもと行動が同じかなどを教えてもらい、参考にします。
中には手術を行う症例もあり、見学させていただけて、とても勉強になりました。
診察や採血をするだけでも捕獲、保定などに伴侶動物以上の注意と労力が必要となりますが、実習期間中に5例も手術が行われていて、すごいと思い、驚きました。大きな動物の場合には、麻酔器具やレントゲン機材を運んで手術に向かいます。しっかりと計画を立て、手際良く行うことが大切だと感じました。
この実習で、本当にたくさんのことを学ばせていただきました。動物園での実際の仕事について知らないことが多かったので、とても新鮮な体験でした。動物とその生命の素晴らしさ、動物の生態を知ることの大切さを人々に伝え、人と動物の架け橋となるのが動物園の役割だと考えます。そのため、動物の健康管理をする獣医師の役割はとても大きいと言えます。仕事の責任の大きさを感じました。ぜひ自分も動物園の一員となれるように、力を尽くしていきたいと思います。