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【新着論文】腫瘍抑制因子のWwoxは精子形成過程において生殖細胞のゴルジ装置に局在する

論 文 名:
Cellular Expression and Subcellular Localization of Wwox Protein During Testicular Development and Spermatogenesis in Rats.
和訳)ラットの精巣の発達と精子形成におけるWwoxタンパク質の細胞分布と細胞内局在
著  者:
Md Abdullah Al Mahmud1 、野口蒔2 、土門綾華3 、栃木裕貴、片山健太郎、鈴木浩悦
獣医学部獣医学科 獣医生理学研究室
1大学院国費留学生、 2学部学生、 3大学院生)
掲載雑誌:
Journal of Histochemistry & Cytochemistry 2021 69 (4) 257-270 SAGE
doi.org/10.1369/0022155421991629

同雑誌当月号の表紙に画像を提供しています。
表紙画像
研究内容:
 Wwox遺伝子は突然変異が頻発する染色体領域に存在し、癌細胞でしばしば欠失しているために、腫瘍抑制因子と考えられています。生理学研究室では同遺伝子を欠損するラットを発見し、表現型を解析することで、Wwoxが神経系の発達や精子形成において役割を果たすことを明らかにしました。本研究では精巣の発達と精子形成過程におけるWwoxタンパク質の局在を明らかにしています。精子形成は内分泌ホルモンの制御下で、生殖細胞が減数分裂と形態変化を起こして雄性配偶子となる過程です。Wwoxは最初、細胞質に拡散していますが、生殖細胞の分化が進むにつれて、徐々にゴルジ装置に局在するようになり、精子になる直前で消失します。この研究は雑誌JHCの表紙に選ばれました(上の写真)。これは上から3つの精巣切片を示しており、いずれも青色が核、緑色がWwox、赤色が細胞を同定のためのマーカーです。点状の緑色のシグナルがゴルジ装置に局在するWwoxを示しています。Wwox欠損ラットでは減数分裂パキテン期の精母細胞がアポトーシスを起こすので、Wwoxは減数分裂の進行過程で役割を果たす可能性があります。

■研究者情報

鈴木浩悦 (獣医学部獣医学科 獣医生理学研究室・教授)
片山健太郎(獣医学部獣医学科 獣医生理学研究室・准教授)
栃木裕貴 (獣医学部獣医学科 獣医生理学研究室・講師)