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【新着論文】症例報告:脳梁離断術を実施した原因不明の薬剤抵抗性てんかんの猫の1例

論 文 名:
Case Report: Corpus callosotomy in a cat with drug-resistant epilepsy of unknown cause
和訳)症例報告:脳梁離断術を実施した原因不明の薬剤抵抗性てんかんの猫の1例
著  者:
長谷川大輔1,2,浅田李佳子1,水野郷志1,湯祥彦1,濱本裕仁3,金園晨一4
(1日本獣医生命科学大学大学院獣医学専攻/獣医学部獣医学科 獣医放射線学研究室、2日本獣医生命科学大学生命科学総合研究センター脳研究部門、3日本獣医生命科学大学 付属動物医療センター、4どうぶつの総合病院(埼玉県川口市))
掲載雑誌:
Frontiers in Veterinary Science 8:745063, 2021
研究内容:
この症例報告は現在著者らが科研費助成の下に行っている研究課題「小動物臨床におけるてんかん外科の導入」(課題番号17H01507)の内、臨床試験(Clinical trial)に参加した猫の1症例に関する報告となります。症例は発症時2ヶ月齢の雄猫で、鈍麻、両側視覚障害と複数回のてんかん発作を示していました。てんかん発作は顔面および全身のミオクロニー発作と全般強直間代性発作でした。その後様々な抗てんかん薬を用いて治療されましたが、発作をコントロール出来ず、多い時には1日に40回以上の発作を認めました。症例も次第に意識レベルの低下、起立不能状態となり、食事や排泄は飼い主の全介助を要していました。一般的な臨床検査とMRI、脳脊髄液には異常はありませんでした。原因不明の薬剤抵抗性てんかん(難治性てんかん)と診断され、8ヵ月齢時にてんかん外科の臨床治験に参加しました。脳波検査では左右かつ全般性に同期したてんかん性異常波が数秒間隔で認められました。このためヒトで全般発作に対して有効とされる脳梁離断術が実施されました。脳梁離断術は左右の大脳半球を連絡する最大の交連線維である脳梁を切断することで左右の脳の繋がりを遮断する手術です。手術後1年間の経過観察を行ったところ、発作の回数は激減(術前の発作頻度に比べ76%減少)し、異常波は残るものの脳波も改善、そして何より意識レベルが改善し、自立起立・歩行、自力採食・排泄が可能になりました。飼い主による評価にて、患者(猫)そして飼い主自身の生活の質(QOL)の向上が認められました。この症例報告は、臨床獣医療におけるてんかん猫への脳梁離断術とその効果について調査した初めての報告となります。今後より長期の観察と症例の蓄積が必要ですが、脳梁離断は薬剤抵抗性てんかん猫に対する1つの治療選択になるでしょう。

■研究者情報

長谷川大輔(獣医学部獣医学科 獣医放射線学研究室・教授)
濱本裕仁 (付属動物医療センター・助教)

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