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牧場だより「継・いのち」 第25号 | 精一杯「富士セミナーハウス」
第25号:精一杯「富士セミナーハウス」
吉村 格(准教授/牧場長補佐)
2008/4/7 更新
附属牧場に宿泊施設としてある富士セミナーハウスは、宮城県小野田町から移転の際に建設したものである。平成5年7月の竣工であるから早くも15年が経過した。当時の学校法人は資金繰りが大変厳しい時代であったと記憶しているが、その中にあって「学生の教育のために必要なものは作らなければならない」という教職員の熱意と小野田町からの移転で丸裸になった我々に対し、立派なものを建てて頂いた。足りないものも少なくなかったが来場者の満足度はその後を管理する我々の努力に委ねられた。
我々は働く場を作って頂いたことの恩義に報いるため、精一杯のことをやらしてもらったと思っている。特に、管理人として働いてくれた佐藤修平さん、その奥様の真摯な働きぶりは来場者の目に止まりセミナーハウスに対する高い評価となった。もし現在の我々の仕事に対する態度を褒めて頂くことがあるとすれば、それは全て佐藤さんからの影響である。「働く」とは端(側の人々)を楽にする行為という意味に殉ずるために、頭を垂れ腰を低くし、ボロボロの身体を引きずって見事に働き通した。佐藤さんの後ろ姿は我々職員の宝であり、人を評価するときの基準となった。その後も臨時職員として細見さん、私の家内と続き、15年間を学生達の実習に支障がないように受入れのための準備に追われた。
しかしながら、いよいよ我々素人の頑張りだけでは富士セミナーハウスを維持することは困難になった。施設管理のプロの手を借りなければやっていけないような状況が出てきている。そのため昨年後半から、本学が種々の業務を委託している会社に管理を委託することになった。我々の手から離れる寂しさはあるが、これまで守り抜いた施設を引き渡しできたことに安堵している。これまで御協力を頂いた皆様方には衷心より感謝を申し上げたい。
富士セミナーハウスの利用に関してはいろんなことがあった。実習・実験で来られた先生や学生、遊びに来られた同窓、あるいは施設管理の窓口である庶務課担当者と度々衝突を繰り返したことは忘れられない赤面の思い出である。富士セミナーハウスを守り抜くことに懸命であった私がとった悪態の数々、この移管をもって免罪符として頂ければと切に願う次第である。