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牧場だより「継・いのち」 第35号 | 様々な使命を担う「笑いの溢れた」牧場を目指して
第35号:様々な使命を担う「笑いの溢れた」牧場を目指して
吉村 格(准教授/牧場長補佐)
2009/1/6 更新
新しい年である。願わくば牛に習って愚直に徹し、我慢と辛抱と自制と協調の心をもって「前方、一歩一歩を踏みしめながら」歩いていきたい。
その歩みの中で、可能な限り動物の「世界内存在」に対してもこれまで以上に配慮し、富士アニマルファームにおける家畜福祉の豊かな実をここで暮らしている動物たちのために捧げたい。人類のためにもって生まれた能力を十分に開花してくれる優秀な家畜たちに対して、また現場で働く我々の脳裏をいつも支配して止まない傷ついた動物に対して、持てる力の全てを傾注して出来る限り苦痛から解放してあげたい。
我らと縁あって繋留されているそれらの家畜を通じて、我が大学の聡明なる学生が「命」を扱う仕事であることをしっかりと認識し考えて貰えるように、また優秀なる教員が精度の高い実験がいつでもできるように、飼養管理を徹底させて家畜の存在理由をさらに高め、これまで以上に「教育の場」「研究の場」となるように附属牧場の使命を果たしていきたい。さらに、大学は大学だけでは存在しているものではないという理由により、富士アニマルファームは明るく楽しい教職員や闊達な学生諸君と手を繋ぎ連携して、大学砦を守るための知の実戦部隊として「地域貢献」という使命も担っていきたい。
富士アニマルファームの教職員は「小さな牧場ではあるが、その意味と価値は決して小さくはない」というただそれだけの評価を得たいために、これらの仕事をしっかりとやり遂げることは勿論、日々の動物たちの飼養管理においても十分に心と身体を燃焼し尽くさねばならないと覚悟している。
今年も厳しい一年になるに違いない。「笑いがあるところにしか幸福は根付かない」という言葉は本当である。我々が求める「笑い」はフレーメンのような生理的な笑いではなく、己の無力を知った卑下した笑いでもなく、良く見られたいがための愛想笑いでもない。元気な心と身体があれば自然と湧き上がるような「健康な笑い」「屈託のない笑い」「無防備な笑い」である。人間も動物も幸福感に包まれるような「笑いの溢れた」牧場を目指して今年も突き進んで行きたいと思う。