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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第64号:「浅間大社奥宮で、“新年の願い”再び」

吉村 格(准教授/副牧場長)

2010/9/28 更新

『遠くに南アルプス、手前の山は毛無山、
目前に富士アニマルファームのある富士ヶ嶺の草地が広がる』

夏の一日、今年の正月に富士山に向かって手を合わせた「願い事」の進捗状況の報告と達成までのご加護を祈るために富士山山頂の浅間大社奥宮に立った。
新年の願い事の一つ目は「ホームページの立ち上げがうまくいきますように」であった。これまで庶務課用度係に手綱を取られ尻を叩かれながら走ってきた。振り返ってみると我々の期待以上に体裁は整い、もう少し頑張って机の前に座ることが出来たら各学科のご自慢のブログに追いつけそうな気もする。手持ちの写真はいくらでもある。批判が出るまで下手な文章を出し続けたいと思っている。
願い事の二つ目は「家畜診療所という組織の付置ができますように」であった。富士アニマルファームで実施される獣医学科の臨床実習が世界標準として認められるためには、ここで診療し、治療し、カルテを書いた獣医師が学生の指導に当たるということが必要条件であるという。そのための担当教員として内科学教室の水谷講師が配置されたが未だ受け入れのための組織と体制は整っていない。大学側に早急に手だてを講じてもらえるように努力を傾注したいと思っている。
願い事の三つ目は「肥育牛舎の建設が認められますように」であった。先日開催された牧場運営委員会でも議題の一つとして提出され、計画されている牛舎の大きさや間取り、効率的な仕事をするための設備などが具体的に検討され、それに伴う資金の捻出方法も報告された。私が奉職して以来、初めて教員側から出された具体的な要求である。時間がかかっても実のある結果となるように精一杯の協力はさせてもらいたいと思っている。
そして新年の願い事の最後には自分の健康を祈ったのであった。今回は富士宮口を早朝5時に出発し、頂上には2時間10分後には到着した。祀られているコノハナサクヤヒメに礼拝し、例年より多い積雪に足を取られながらお鉢を廻って、再び浅間大社奥宮の前に立ったのは1時間後である。用意した食べ物と飲み物は持ち帰りたくはなかったのでここで初めて腰を下ろし朝食にした。20分ばかり休憩をとった後に下山を始め、5合目の駐車場に着いたのは午前10時30分。肩で息をしながら這々の体で登ったり降りたりする人たちを追い抜くとき私の辛さを感じるセンサーは損傷しているのかもしれないと心配になったが、何はともあれ健康な心と体でいられることをまずは感謝した。もう暫くは大好きな生産現場で働くことを許してもらえそうだ。ところで、富士アニマルファームで働く職員もそうだが畜産の現場で働く人達は動物を飼う技術や知識ばかりでなく体力も当然兼ね備えていなければならない。日々の動物たちの生活を保障し、飼養管理のために費やされることになる彼らの粘り強い体力は半端ではない。勿論、私の比ではない。