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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第125号:最後の獣医学科4年次臨床基礎・大動物実習

手嶋 隆洋(助教/獣医学科臨床獣医学部門治療学分野Ⅰ)

2014/11/10 更新
 富士の麓はすっかり紅葉の見頃となっていた10月27日から10月31日の期間、獣医学科4年次の学生を対象とした臨床基礎・大動物実習を本学付属牧場(富士アニマルファーム)にて行いました。武蔵境のキャンパスとは異なり、朝晩の冷え込みが厳しい日もありましたが、体調を崩す学生もなく、2泊3日2クールの集中実習を無事終了することができましたことをご報告するとともに、本実習の実施に当たり、吉村牧場長、長田先生、牧場スタッフの皆様、ならびに引率にご協力頂きました佐藤先生、大学院課 吉田主任に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 カリキュラム変更に伴い、「臨床基礎・大動物実習」という科目名で行う本実習は、今年度が最後となりました。本実習の目的は産業動物、特に牛の基本的なハンドリングを身に付け、臨床観察を通して健常な牛について理解する、また、採血や注射・投薬、採尿法といった基礎的な診療手技を習得する、さらには直腸検査や子宮内への薬液注入の手技を学ぶといった多岐にわたる内容となっています。1, 2年次の体験実習等にて、産業動物に接した経験があるとは言え、牛と1日中しっかり向き合うのは初めてという学生が大多数であったと思います。初日は、実習を行うために枠場へ牛を移動する際、四苦八苦していた学生達ですが、3日間という短い期間ながらも、日ごと知識や技術を身に付け、最終日には積極的に牛と向き合う学生の姿が多くなっており、実習を通じて産業動物を“見る”から“診る”ために必要な基礎を各自が認識してくれたかと思います。また、武蔵境のキャンパスでは産業動物に触れる機会を提供できない現状からも、動物に直接触れ、観察させる機会を与えることが臨床獣医学を教育するうえでいかに重要であるかということを付属牧場での実習を行う度に痛感させられます。
 来年度からは新カリキュラムへの移行に伴い、産業動物を対象とした臨床獣医学の実習は5年次での実施が最初となり、学内では産業動物を繋留・飼育することが難しいことからも、より一層様々な取り組みが必要になると思われます。しかし、学生各自が将来の進路を考えるうえで、産業動物獣医療を選択肢のひとつとできるようにするためには、短期集中実習という形であれ、動物と向き合う時間が必要不可欠であり、今後は新カリキュラムの3年次より始まる動物衛生学実習と相互に連携しながら、充実した実習プログラムを計画していきたいと考えています。