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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第129号:憧れの牧場勤務に就けました

水谷 尚(講師)

2015/02/13 更新
 牧場便りをご愛読いただいております読者の皆様、これまで何回かこの欄に寄稿させていただいております。昨年、8月より、念願かなって、牧場での勤務となりました。獣医学科の水谷と申します。
 さて、私がこの牧場担当に就いた理由としては、とにもかくにも、獣医学科における産業動物分野の充実というものがあります。本学の所在地は東京都のほぼ真ん中の武蔵野市、オシャレなショップが建ち並ぶ吉祥寺と大手企業が事務所を構える・三鷹に隣接する地域です。当然のことながら、産業動物分野で主に扱う牛・馬・豚といった中大型動物を本格的に扱うのはあまりに手狭な環境にあります。それでも、かつてはこの地で実習等々をやっていたのですが、地域環境やアニマルウェルフェアを考慮するとやはり限界があり、本格的に大型動物を扱うには、郊外に出て行くしか方法がなくなりました。そんなわけで10年ほど前から、この付属牧場富士アニマルファームで集中実習を行うようになり、ここで基礎技術を身につけてもらうようになったのです。
 一方、社会的にはこの10年ほどで畜産に関わる様々な問題が浮上してきています。例えば、食の安全・安心、ウシ海綿状脳症・口蹄疫・鶏インフルエンザといった家畜伝染病、穀物価格の高騰、等々、これらの問題のほとんどに獣医師が関わっています。国もこういった諸問題に対して、本格的な対応を迫られるようになり、その解決策の一環として、産業動物に関わる獣医師の育成強化に乗り出すことになりました。そこで、大学のカリキュラムの中で産業動物に関わる部分を鮮明にし、具体的に何を学び、必ず身につけなくてはいけない知識や技術を明確にしていくという方針を立てました。この方針は、産業動物分野の教育や研究に携わってきた私としても大歓迎なのですが、こういった教育に関わる人材として産業動物臨床の経験が豊富で有ることが絶対条件となります。また、さらには大学内で産業動物臨床に関わっていることも重要になってきます。つまり、机の上での知識だけではなく、豊富な経験の上に成り立つ知識、更にそれを拡張していくためのフィールドを持っている必要があるわけです。そんなわけで私のような大学に長いこと在席しているだけで、現場での実績があまりない人間では十分に勤まらないと言うことで、現場での経験を増やし、さらにそれを深めていくためにも本学が持つ、唯一の産業動物フィールドである富士アニマルファームでの勤務となったわけです。ここで具体的に何をやっているのか、あるいは今後何をやっていくかについては次回、お話しすることとして、まずは、着任のご報告とご挨拶をさせていただきました。今後とも、よろしくお願いいたします。