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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第164号:「中央動物専門学校 大動物実習」

越村 賢一郎(中央動物専門学校 動物共生関連科 教員)

2016/09/07 更新
 8月3日から5日にかけて富士アニマルファームにて「大動物実習」を実施しました。この実習の主な目的は、給餌や搾乳など作業をとおし産業動物の飼養管理や伴侶動物との違いを理解することです。本校は、動物看護師やトリマー、ドッグトレーナーを養成する専門学校です。普段は犬や猫を中心とした伴侶動物に関わっておりますが、馬や牛といった大動物に触れるのは今回が初めてという学生もおりました。以下に参加学生の感想を記述いたします。
(動物看護研究科1年)

大動物実習に参加して学校では体験できないことをできてよかったと思いました。乗馬や綿羊毛刈りなどを体験できると興奮していたのですが、実際にやってみると考えていたよりも難しく、また怖いと思う時もあり関わっている人達の凄さを実感しました。実習では、朝日が昇る前から牛舎の掃除や子牛にミルクをあげる作業をしました。その際に子牛がトラックで出荷されていく場面を目の当たりにしました。それを見て「命を扱う職業の責任の重さ」、「命を頂く有難さ」を痛感しました。また実習を通じ産業動物の飼育方法や身体検査方法などを学び、身体検査や診察方法は伴侶動物と共通している部分も多く面白いと感じました。中でも、牛の直腸検査は特に印象に残っています。実際に牛の子宮を自分の手で触りながら部位の説明を聞くことができたので、とても分かりやすかったです。触診、超音波検査だけで受胎させるため経験の数が受胎率に影響すると聞き難しい仕事だけどとても魅力を感じました。

(動物看護研究科2年)

大動物と伴侶動物とでは体の大きさは異なっても、それに関わる人は動物の解剖生理や行動について理解しておくことがとても大事だということがよく分かりました。また、大動物は伴侶動物と比べ人間に利用されている部分が多くありますが、飼育する人は愛情を持って大切に育てており、伴侶動物の様にただ可愛がるだけではない関わり方や、感情の持ち方の難しさを実感しました。そして、私達が食べている牛乳やお肉が口に入るまでには、たくさんの人の手が加わり多くの工程があるからこそ、私達はおいしく頂くことができるのだと深く感じました。これからは、今まで以上に感謝の気持ちをもっていただきたいと思います。最後に、今回の大動物実習に参加して大動物と伴侶動物で大きさや形は違っても共通することがあるのを知りました。今後は、犬猫に限らず視野を広げ勉強していきたいと思います。

(中央動物専門学校 動物共生関連科 教員 越村 賢一郎)

今回、引率ではありましたが学生と一緒に講義や実習に参加させていただいた中で、多くの学生が感じたように「命を頂いている有難さ」を改めて実感しました。それは、動物が健康でなければ牛乳や牛肉を口にすることができない。また、その健康維持の為に多くの人が時間と労力を費やして実現されている。そして、その動物たちの貴重な命を自分達が頂いて日々生かされていると感じ、同時にこれまで以上に牛や馬など大動物に対し深い感謝の想いを持つきっかけになりました。牛の搾乳前後の消毒の意味や健康状態確認の為の身体検査など詳しく知ることの出来た大動物実習は個人的にも貴重な体験となりました。また、学生の感想からも大動物の飼育管理や身体検査などを体験し伴侶動物との共通点や相違点を知る貴重な体験となったようです。今後、動物に関わる上で、この経験が自身をより一層成長させる糧となることを願います。
最後に本校の実習にご理解とご協力を賜りました日本獣医生命科学大学の先生方や牧場スタッフの皆様に深く感謝申し上げます。