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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第178号:獣医学科3年次 動物衛生学実習を終えて

獣医学部獣医学科 疾病予防獣医学部門 衛生・公衆衛生学分野 教授 田中 良和

2017/07/25 更新
 去る7月3日より6日まで付属牧場を利用した動物衛生学実習を行いました。毎年、台風に遭う本実習ですが、今回は前半の実習終了後の夜半に大雨になったので、実習には影響はありませんでした。本実習は獣医学科のコアカリキュラムにおいて必須の実習です。本学は武蔵野市という東京都の23区に隣接した場所にあるという土地柄、産業動物を飼育できないという環境にあります。このため、山梨県富士河口湖町にある付属牧場で牛、馬、豚、羊に関して動物の取り扱い方、個体識別の方法、保定法などを学びます。3年次までに牛をはじめとする産業動物に触れたことのない学生が多かったのが今回の実習の特徴でした。今回、教員からの諸注意の中には産業動物に接する方法、特に動物に恐怖を与えずに自らの身の安全を守ることがありました。初めに念押しをする形で始まった実習ですが、動物体に触れることが本実習の目的でもあるため、動物を怖がっていては何も習得できません。本来、動物は警戒心の強い生き物ですが、その接し方によって信頼関係もでき、こちらの取り扱いも容易になります。学生はこちらの指示に従い、積極的に動物に触れ、心音を聴診してどういった音が聞こえるのか、また、体温の測定法をいかにするのかなどを学びました。これらの基礎的な取扱い法や聴診法は今後、上級年次になるに従い当たり前かつ重要なポイントとなります。今回、学んだことを次の実習に生かし、採血、投薬など実際の臨床的な手技に応用していけるよう私たち教員は望んでいます。また、健康な状態の動物の外貌所見、糞便の状態、排尿回数、尿の色、横臥姿勢などをよく観察し、異常な状態をすぐさま感じ取れるよう心がけることが大切です。そして本実習を通して産業動物に興味を抱く学生が少しでも増えるよう心より願っています。最後に,牧場作業として畜舎の管理(給餌、清掃)、搾乳にも参加させていただき、吉村牧場長を初めとする牧場のスタッフの方々のご協力のもと、無事事故もなく実習を終えることができました。この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。