去る7月9日より12日までの間、富士アニマルファームにて獣医学科3年生の動物衛生学実習を行いました。今年は梅雨明けも早く、猛暑の中、学生が倒れないか心配でした。しかし、途中天候が崩れたのも幸いし無事に実習を終了することができました。ひとえに実習にご協力を頂いた教職員の皆様のおかげだと感じております。
本実習において、昨年度との大きな違いは、3年次の学生全員に搾乳を体験してもらい、同時に搾乳衛生を学んでもらうことでした。このため搾乳を終える時間が夕方6時近くになり、大学に戻る時間が夜8時を過ぎることになりました。しかし、朝4時起きの実習生活のため、帰りのバスで学生は皆良く寝ていたと思います。
本実習において、初めて産業動物に触れる学生も多く、初めは皆、恐る恐る動物に接していましたが、慣れてくると動物にうまく接することができるようになっていました。ホルスタイン牛は、成牛で600㎏を超す体重になり、男子でも振り回されることがよくあります。本実習では、いかに動物にアプローチするか、また、どのように保定すれば、その後の検診を行うのに都合が良いのかということを習得しました。これは例えイヌやネコでも大切なことで、動物の保定なしには獣医の診療をおこなうことはできません。このために正しいロープワークを学び、動物の習性に合った取り扱い方が大切となります。来年、再び牧場で実習を行いますが、今回学んだことを忘れずにうまく動物を扱ってくれることを期待します。私たちは獣医ですので、実際に給餌や搾乳を主体的に行う立場ではないですが、動物の疾病が何に由来するのか、どこを改善すれば予防できるのかということを知るために畜舎管理方法や搾乳方法を学ぶことは大切です。また、実習中に少し話しましたが、牧草や土壌に起因する疾病も数多くあることを忘れず、飼養管理の重要性を心に留めておいてください。一人でも多くの学生が、今後産業動物の臨床に興味を持ち、食の安全性の維持と生命の大切さを尊ぶ獣医師に育ってくれることを願います。