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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第196号:新しい時代を切り拓く、農場実習の意義とは

応用生命科学部動物科学科 システム経営学教室 准教授 長田雅宏

2018/10/05 更新

 本年度の農場実習は8月6~9日、21~24日の日程で行われました。今年の農場実習は二回とも台風の影響を受け、大雨のなかで実習することとなりました。学生は自然の厳しさを目の当たりにし、多くのことを学んだと思います。今回の実習では、学校法人日本医科大学が発行する刊行誌の取材を受け、改めて実習の意義と実践教育の大切さを感じました。我々教員は、恒例の務めとして実習を行ってきましたが、その内容を紙面にすると誠に多種多様な内容であることが分かります。この四日間を成し遂げた学生は、長い人生において実習を振り返り、心の励みとなることでしょう。大学生活をバネに邁進することを信じて、これからも全力で農場実習に挑みたいと思います。詳しくはOne Health9月号をご一読いただければ幸いです。

 二回目の実習では、歴史的建造物と呼ばれていた古い牛舎の解体が行われました。私の生まれた頃に先人が建てた、当時は20頭以上つなげる画期的な牛舎だったと思います。富士アニマルファーム技術職員として着任した2002年には、この牛舎が主要な建物でした。バケットミルカーで20頭を搾乳していましたが、作業性が悪く、本当に辛い日々であったことを思い出します。本学から実習にくる学生を迎え、駆け回って搾乳したこの牛舎では、いろいろなドラマがありました。しかし、この実習中にあっという間に壊されてしまった牛舎、更地の真ん中にたたずむ富士の山が残るのみ。どことなく寂しさを放ち、思いがこみ上げてきました。ですが、思い出に耽っているばかりでは前には進めません。この実習でも一歩が踏み出せない学生を目にします。彼らはひと押しすれば歩み始めるのです。
 総代となった岩﨑真由さんもその一人でした。最後の言葉に、「知らないことばかりで、自分がいかに無知であったかと、」本学での学びを誓った挨拶には、教員一同心を打たれました。最初は皆同じです。自分が無知であったことに気づけば反省し、一歩を踏み出します。本学の教員も新しい牛舎での実習を考えながら、一歩ずつ進みたいと思います。学生諸君には自らの成長、将来の可能性を信じ、今後も積極的に実習に参加して欲しいと思います。最後に、吉村格先生をはじめ牧場スタッフの皆様、参加いただきました教員の皆様に心より感謝を申し上げます。