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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第239号:家畜人工授精師講習会に参加して

2021/10/19 更新

株式会社神戸ETセンター  藤村弥咲

 私は、家畜体内受精卵および体外受精卵移植の資格を取得するために日本獣医生命科学大学にて約1か月にわたり講習会に参加させていただきました。会社では日々業務で体外受精卵の生産に取り組んでいましたが、今回の講習会で初めて学んだこと再確認したことが多くありました。例えば、受精卵の融解方法について指定された時間や温度を守らなかった場合の精子への影響についての具体的なデータや、体内受精卵の品質を複数の写真を見て判定していく授業は、より現場に近い知識が得られたと思います。また、外部講師の方々には普段こんなに詳しいお話を聞く機会は無いので大変勉強になりました。

 受精卵移植については、内臓を使用した実習を十分に行うことができたので、富士アニマルファームでの生体を使用した直腸検査や注入操作の際に体内の配置がイメージしやすかったです。最終日の牧場実習でははじめ、どうしても注入棒の方を動かしてしまい子宮体までの注入に時間がかかり悔しい思いをしましたが、だんだん子宮が上手く触れていると牛がいきむので注入しやすいことが分かってきて少しコツをつかむことができました。印象に残ったのは、自分たちで作成した受精卵をと体に移植し体内採卵の手順を確認しながら回収するという講習でした。これまでは、体内採卵の現場に同行していても詳しい作業内容は分かっていなかったのですが、実際に自分で最初から最後までやってみることによって体内でどのようなことが行われているのかが分かるようになったのでこれからは現場でこの経験を活かしていきたいと思います。
 今後、この講習会で得られた知識と経験を十分に発揮してよりよい受精卵の生産を目指して精進していきます。最後に、今回の講習会に携わってくださった先生方や牧場職員の方々、実習の準備をしてくださった学生のみなさんに感謝申し上げます。ありがとうございました。

(株)渥美牛群管理サービス 井上梨沙

 およそ1 か月におよぶ講習会を無事に終えることができました。去年は、私が大学在学中に開催を予定していた人工授精師講習会が新型コロナウイルスの影響で中止となってしまいました。 そのため、今年の開催も心配をしていましたが、感染対策をしっかりと行い、無事に終えることが出来ました。

 講習会会場は日本獣医生命科学大学と外部農場で、家畜の人工授精、移植、体内と体外受精卵の取り扱い方について座学と実習が行われました。特にこの講習会では、卵操作と直腸検査、注入操作の実習が印象に残っています。豚の凍結卵巣を用いて吸引、検卵の練習を行ってから、新鮮卵巣を用いて卵子の吸引、検卵、体外胚生産を行いました。生きた卵子は素早く丁寧に扱いましたが、パスツール管で作ったキャピラリーでの操作は不慣れなため、緊張感がありました。初めて卵操作した日は、キャピラリーの先をシャーレで弾いてしまい卵子を何個か失くしてしまったことはとても残念でした。キャピラリーの先端まで集中して操作できなかったことを反省しました。体外受精卵の成長も思うように伸びず、発生途中で退行してしまいました。これを踏まえて牛の卵巣からの卵子操作は慎重に行うことが出来たので、胚盤胞まで生産することができ、満足いく結果になりました。この感激が仕事へのやりがいに繋がるのだと感じました。そして、作った受精卵は、受卵牛へ移植され子牛が生まれる。命を作ることは難しく責任のある仕事ですが、子牛が生まれたらそれ以上の感動があるのだろうと感じました。

 講習会のなかで受精卵移植までは行いませんでしたが、と体と実習牛を使った実習で直腸検査と注入操作の練習を納得のいくまで練習させていただきました。卵巣まで触ることはできませんでしたが、子宮頸管に注入棒を挿すコツや、子宮角の位置を把握することができました。あとは、現場で自分の手で移植を行い、子牛を生産することにつなげていこうと思いました。
 この講習会に参加して、初めはできないことが多く不安ばかりでしたが、徐々にできることが増えていき自信に変わっていきました。また、日本獣医生命科学大学の学生の皆さんがとても親切に接してくださり心強い存在でした。そして、これから畜産業に携わる学生の方との新しい出会いがあり、日本の畜産業を一緒に盛り上げていく仲間ができたことに嬉しさ感じました。
 最後になりますが、本講習会を修了できたのは、牛島先生、岡田先生、富士アニマルファームの先生方、外部講師の方々のご指導のおかげです。疑問があったらすぐに聞き解決できる環境であったおかげで、とても濃い一ヶ月間を過ごすことができました。短い間でしたが、大変お世話になりました。ありがとうございました。

東京農工大学農学部地域生態システム学科4年 湯澤 萌

 私は東京農工大学農学部地域生態システム学科の4年生で、畜産とは直接関係のない学科に所属しています。畜産に興味を持つようになったきっかけは、農工大牛舎で子牛の世話をするMOWゼミでサークル活動するようになったからです。また、個人的に北海道の酪農家で実習をさせてもらい、家畜人工授精師という職業があることを知りました。MOWゼミの顧問の先生に相談したところ、農工大で畜産系の科目を取得すれば、4年次の夏休みに日本獣医生命科学大学で開催される講習会に参加できるということがわかり、3年次から他学科の科目を取得して、今回の受講に参加することができました。

 講習会では関係法規などの座学と卵子操作、直腸検査、注入器の操作などの実習を受けました。私の学科では実験室よりもフィールドでの実習が多いので、最初はマイクロピペットの使い方も分からず、右往左往してしまいました。しかし、手際よくこなす周りの受講生を見て、追いつきたい一心で努力し続けるが出来ました。

 この講習会では興味深いこと、楽しかったことがたくさんありますが、特に印象に残っていることは2つあります。一つ目は、卵子操作の難しさです。卵子操作をする際には慎重さ、丁寧さ、素早さが必要ですが、大雑把な性格の私には足りないものばかりで苦戦しました。先生方や繁殖学ラボの学生さんは何気なくこなしていたため簡単そうに見えました。しかし、自分の思うように卵子を操作することは想像以上に難しく、卵子を移動させるのも一苦労でした。最後の実験では、気泡も発生させず、時間もあまりかけずに卵子操作ができたので、成長を感じました。
 二つ目は、富士アニマルファームで実習が出来たことです。農工大牛舎はキャンパスから近く、学生が牛に接しやすい場所ですが、都市にあるため頭数は20頭前後で、品種もホルスタインと黒毛和種だけです。富士アニマルファームは、飼養頭数も多く、品種もジャージーやガンジー、ブラウンスイス、エアシャーの乳牛5大品種が揃っていました。ホルスタインとジャージー、黒毛和種の3品種を同時に直腸検査させてもらうことで、品種の差を知ることができました。このような機会が無ければ他大の付属農場に行く機会に恵まれないので、勉強になりました。
 最後になりましたが、この講習会を無事に修了できたのは、牛島先生、岡田先生、富士アニマルファームの長田牧場長と萩田先生、職員さん、講師の方々のご尽力のおかげです。この場をお借りして感謝申し上げます。誠にありがとうございました。