富士アニマルファームは、2022年4月に「酪農教育ファーム牧場」として認定されました。これは、一般社団法人中央酪農会議の「酪農教育ファーム認証規程」により認証を受け、教育ファーム活動が許された牧場等のことを指します。今回は、本学学生が主体となり「酪農教育ファームファシリテーター」として実施する教育ファームの意義、および教育効果を皆様にお伝えしたいと思います。
▲酪農教育ファーム
認証牧場認証書
酪農教育ファーム活動とは、酪農を通じて「食」や「いのち」の学びを支援し、職業講和により酪農理解を醸成することを目的としています。教育ファームの認証を受けた牧場や学校などと連携し、心を育む教育活動のことです。現在、全国でおよそ290の認証牧場において600人のファシリテーター(認証を受けて活動を行う人)が活動し、3,000以上の学校で15万人が体験している、学校以外も含めると40万人以上とも言われています。
畜産学、いわゆる産業動物の生産を研究対象とする動物資源科学分野は衰退の途をたどり、その影響は受験者数にも表れています。生命が備えている機能や解明できていない作用など、興味の対象が生命科学になっているのです。同じ生命科学の分野ではありますが、畜産はなぜ人気がないのか、衣・食・住のなかで最も重要と言われる「食」を支える農業が、再度、日の目を見る時はあるのでしょうか。このような疑念をいつも抱いています。
さて、富士アニマルファームの使命は、研究・教育・運営・社会貢献の4つです。特に、本年度は社会貢献を重点課題とし、環境を整備したいと考えております。教育ファームを始めるためには、認証を取得したのち、ファシリテーターを養成しなければなりません。小・中学生に命や食を理解させることは大変難しい課題です。これを本学学生が実施するのです。その意義は、①人に伝えることの難しさを知る、②自らが酪農に興味をもち、知識を得なければ伝えられない、③食の大切さを理解させることができた達成感が得られ、自信につながります。学生にとってはとても意義のある教育活動と自負しております。
次に活動の内容です。①乳牛などの生き物と触れ合う、②乳牛の世話や搾乳を体験する、③牛乳や乳製品の原料である「生乳」の生産過程を知る、④酪農家の生き方を学ぶなど多岐にわたります。諸感覚を通じて食、仕事、いのちを学び、思考力、判断力、表現力の育成につながる活動として評価されています。本学の研究から、体験後の子どもへのアンケートからも牛乳の好感度が上昇し飲用量が増えた、攻撃的な性格が和らぎ、思いやりが向上するなどの教育効果があることも分かっています。その実践の教育現場として、富士アニマルファームは酪農教育ファームの活動を通じて、充実した教育に努めます。
令和5年度より新たな牧場建設に取り組みます。さらに、富士セミナーハウスの増改築が行われており、サテライトキャンパス構想も着々と準備が進められております。獣医学・農業教育の現場として、産業動物部門の充実、社会的責務としての自給率向上に努め、社会に貢献できる、日本を代表する畜産が学べる大学を目指してまいります。これらのニーズに応える富士アニマルファームの活動にご期待ください。
▲酪農教育ファーム認証牧場看板
▲搾乳牛舎外観