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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第244号:家畜人工授精師講習会に参加して その2

2022/10/20 更新

株式会社神戸ETセンター 森田 摩美

 私が所属する株式会社神戸ETセンターでは、と場卵巣からの採卵・検卵を日々業務で行っています。今回、家畜体内受精卵および体外受精卵移植の資格を取得するため、8月8日~9月9日の約1ヶ月の講習会に参加させていただきました。講習会では家畜の人工授精・移植、体内・体外受精卵の扱い方、卵巣操作、直腸検査などの座学と実習が行われました。

 座学は新しいことばかりで覚えるのに必死でしたが、その度に先生や受講生に手寧に教えていただき理解することができました。また、外部の講師の方々には詳しいお話を聞く機会になり、大変勉強になりました。今まで会社や現場で経験してきたこととは違うところも多くあり、新しい知識が増えると共に畜産に対する興味や楽しさといったものも大きくなりました。

 受精卵移植ではと体を使った直腸検査と注入操作の練習をさせていただきました。はじめは子宮頸管のひだに注入器が当たってしまい、なかなか前に誘導できずに苦戦しましたが、だんだんとコツがつかめるようになり、子宮角に挿入できるまで上達できました。富士アニマルファームでは生体を使った練習を行い、直腸ごしに触る頸管はと体とは比べられないほど難しく、頸管に注入器をうまく挿入できるのか、臓器を傷つけないかと、不安でした。しかし、子宮体まで挿入できた時は不安を忘れてしまうほど感動し、少しでも上達できたのかなと嬉しく思いました。心残りは、直腸検査の時に卵巣などをうまく触ることが出来なかったことです。

 最後になりますが、本講習会を修了できたのは、講師の方々、富士アニマルファームの先生方、そして、学生の皆さんのおかげです。短い期間ではありましたが、充実した1ヵ月になりました。本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。

JA全農ET研究所 吉田美月

 私は、家畜体内・体外受精卵移植師の資格を取得するため、日本獣医生命科学大学主催の家畜人工授精師講習会に参加しました。一カ月間の講習会で得た知識、技術は数多く、現場での人工授精などの作業を振り返りながら学びを深める事ができました。初めての作業も数多くありましたが先生や受講生に助けられながら、無事に透明帯から脱出した牛受精卵を作出することができました。一方で豚の体外受精は難しく、桑実胚を確認することができず、改めて命の誕生は奇跡だなと実感しました。

 富士アニマルファームでの実習では講習会で学んだことを確認しながら、実践できる授業でした。卵巣観察や注入操作などでは自分の悪い癖に気づき、改善点を見つけることができたので、その癖を意識して今後の作業で直していこうと思います。例えば、多くの頭数を短時間で授精する場合、無理な姿勢でも作業を優先してしまいがちでしたが、作業を続けると腰に負担がかかって悪くしてしまう恐れがあることを認識しました。この一カ月で学んだことを現場作業に生かしていこうと思いました。

 最後に、講師の先生方と牧場の職員の方々には大変お世話になりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

JA全農ET研究所 泉龍平

 家畜体内受精卵移植および家畜体外受精卵移植の資格を取得するために8月8日から9月9日まで日本獣医生命科学大学の講習会に参加しました。既に採卵や受精卵移植補助作業の中で体内受精卵を扱っていましたが、体外受精卵を生産することは初めてでしたので、受精卵の生産や処理についての講義と実習はたいへん勉強になりました。

 講習会ではブタとウシの卵巣を用いて体外受精卵の生産を行いました。初めにブタの卵巣を用いて卵胞の吸引、卵母細胞の検索、卵子の洗浄のための移動を練習しました。マウスピースでの卵子の移動操作が難しく、採取した卵子の移動で卵子をなくすことがありました。体外受精卵生産の本番の実習では新鮮な牛卵巣を用いて未成熟卵の成熟培養・体外受精・体外培養・受精卵の品質鑑定までを行いました。残念ながらブタでは胚盤胞ができませんでしたが、ウシでは2個の胚盤胞を得ることができました。得られた胚盤胞を緩慢凍結し、直ちに融解して翌日に生存確認を行ったところ、脱出胚盤胞への発生が確認できました。一連の体外受精卵を作出するための知識や技術を学べたことで、体内での発生過程を知ることができ、受精卵に対してさらに理解が深まりました。初めは苦戦していた卵子操作も講習会終盤には思うような操作ができるようになり、自分の成長を実感することができました。

 富士アニマルファームでは発情鑑定の実習が印象に残っています。プロスタグランジンを単回投与した実習牛の陰部の状態、腟鏡を用いて観察した外子宮口の状態、採取した粘液の結晶像や腟垢像を顕微鏡で比較することにより、発情の良否を判定しました。このような発情鑑定を実際に現場で実践するのは困難ですが、これまで牛の状態や直腸検査によって行ってきた発情鑑定を違った角度から再認識する良い経験になりました。

 最後になりますが、富士アニマルファームの職員の方々、外部講師の方々には大変お世話になりました。この場をお借りして心より御礼申し上げます。

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