8月8日~9月9日に渡り講習会に参加しました。私は普段、都内で酪農ヘルパーをしているのですが、農家が不在の時に人工授精、受精卵移植が提供出来ればと思い、講習会に参加しました。今回の講習では、改めて学術的な視点から受精卵についての学びを深める事ができました。
受精卵移植技術の実務経験がほとんどなかったので、臓器を用いた実習や、青梅畜産試験場や富士アニマルファームの実習を通してウシの生殖器に十分触れる事ができました。先生方のサポートも手伝って、技術習得の手ごたえを掴む事ができました。この講習会では、卵操作と直腸検査、注入操作の実習が印象に残りました。
豚の凍結卵巣を用いて卵胞の吸引、検卵の練習を行ってから、新鮮なブタ卵巣を用いて卵子の吸引・検卵・体外胚生産を行いました。卵子操作をはじめた当初は、キャピラリーの先でシャーレを弾いてしまい、卵子を失くしてしまったことがとても残念でした。キャピラリーの先端まで神経を集中して操作できなかったことを反省しました。生きた卵子は素早く丁寧に扱いましたが、パスツール管を伸ばして作ったキャピラリーの操作は不慣れなため、常に緊張感がありました。体外受精卵の成長も思うように伸びず、発生途中で退行してしまいました。反省の日々が続きましたが、これを踏まえて牛の体外受精に取り組んだところ、卵巣からの卵子の吸引操作は順調に進み、その後の体外受精・体外培養を経て胚盤胞まで発生させることが出来ました。自ら作った受精卵が受卵牛へ移植され子牛が生まれる・・・命を作ることは難しく責任のある仕事ですが、子牛が生まれたらそれ以上の感動があり、仕事のやりがいに繋がるのだと感じました。
最後になりましたが、この講習会を無事に修了できたのは、牛島先生、岡田先生、小澤先生、長田先生、萩田先生、杉村先生、宮村先生、井上先生、青梅畜産試験場の先生方、静岡県の先生方のご指導、学生の皆さんのお手伝いのおかげです。この場をお借りして感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
私は家畜人工授精師および体内、体外受精卵移植資格を取得するためにこの講習会に参加しました。私の所属している東京農工大学で学んだ内容よりも専門的で、一カ月間の講習期間で人工授精や受精卵の生産現場でも役に立つ知識を得ることができました。
日本獣医生命科学大学で行われた授業ではブタおよびウシの体外受精を行いました。初めて卵子操作を行ったのでマウスピースを使って卵子を移動させることや、受精卵のサイズに合わせてキャピラリーを作成することに苦戦しました。授業の中でそれぞれの操作の注意点や培地の特徴を細やかに指導いただいたおかげで、体外培養についての知識をより深めることができました。特に、千葉県農業共済組合連合会獣医師の井上先生の授業では受精卵移植技術を利用した農家の収益向上についての説明があり、実際の個体販売価格を目安としたコストの違い、農場ごとにシミュレーションをして農家にETを提案する話などを聞きました。ET利用のメリットは、これまでは概念的な説明でぼんやりとした理解に留まっていましたが、より現実的なものとして認識することができました。
最終週に3日間行われた富士アニマルファームでの合宿では、ウシの体格審査や実際に注入器を用いての注入操作を行いました。合宿するまでに数回直腸検査の実習を行いましたが、実際に注入器を使用したのは初めてのことで、私にとっては非常に難しく感じました。最終日には静岡県畜産技術研究所の先生から指導を受けたおかげで、注入操作のコツを少しつかむことができました。この講習会を通じて私は知識、技術ともに大きく成長できました。こうして無事に講習会を終了できたのは、講師の方々のご尽力、そして一生懸命に取り組んできた仲間のおかげです。この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。