どうぶつびより
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新任教員インタビュー:関 瀬利先生

獣医保健看護学科広報委員会

 本年11月に獣医保健看護学科に着任されました、関 瀬利(せき せり)助教をご紹介します。

【自己紹介をお願いします】

 はじめまして。11月より獣医保健看護学科臨床部門の助教に着任いたしました、関瀬利と申します。
 私は小学生の頃に家族の一員として猫を迎え入れましたが、交通事故にあってしまい、動物病院にかかることになりました。その際に獣医師という仕事を知り、無事完治してもらえたことからその職業に憧れを持つようになりました。中学生くらいから進路を考えた時に、将来獣医師になって、たくさんの動物を治療できる人になりたいと思い、日本大学の獣医学科に進学しました。在学中は、臨床系の研究室の中でも特に重症の動物がたくさんいる獣医外科学研究室に所属しました。私が学生の時はちょうど高度獣医療が盛んになってきた頃で、大学付属の動物病院で勉強する中で、大勢のスタッフの協力がなければ実現できないチーム獣医療の存在を知りました。そのような経験から、自身もそんなチームの一員になって高度獣医療に貢献できるようになりたいと思い、大学卒業後は日本大学付属動物病院の研修獣医師を経て、そのまま大学のスタッフとして勤務しました。
 そんな中、チーム獣医療に足りない分野のうち、自分が得意とする専門領域でチーム獣医療に貢献できるものは何だろうと考えるようになり、当時専属とする獣医師がいなかった麻酔科を専門に勉強するようになりました。麻酔は獣医療において、人以上にしばしばよく用いられます。なぜなら人ではじっとしていてくれれば済む検査でも、動物ではそれが叶わず、全身麻酔が必要となるからです。麻酔中、私たちは動物の状態が安定するようにモニターなどを使用してその安全を守ります。医療ドラマなどでは外科医や内科医が話題の中心になりますので麻酔科医はあまり目立つことはありませんが、個人的には縁の下の力持ち的な立場がとても気に入っています。

【学生時代(もしくは着任以前)はどのような研究や活動を行ってきましたか】

 学生時代は主に整形外科手術の周術期の疼痛管理(痛みの管理)について研究を行ってきました。”周術期”、”疼痛管理”という言葉はあまり馴染みがないかもしれませんが、周術期とは手術を受ける動物が入院してから退院するまでの全ての期間のことを指し、疼痛管理とは手術などよって起こる痛みの程度を予測・判断し、その痛みを和らげるためにどの鎮痛剤をどのくらいの量使用すべきかを考え、実際に投与することです。
 当時は動物がどのくらい痛みを感じているか、それを軽減する意義はどのくらいあるのか明らかにされておらず、日本では麻酔学はあまり重要視されていない分野でした。しかし、適切な疼痛管理を行うことで手術中の動物の状態が安定し、術後に痛みの評価をきちんと行い、必要な鎮痛剤を追加することで、動物が快適に入院生活を送れるようになる様子を目の当たりにし、とてもやりがいのある分野だと感じたことをよく覚えています。この経験が現在の自分の原点であったと思います。
 2年前からご縁あって本学の付属動物医療センターの教員として着任し、現在まで麻酔学を中心とした活動をしつつ、研修獣医師や学生の教育に努めてきました。現在は麻酔管理がどのように手術結果に影響するかを研究しており、動物医療センターで麻酔管理業務を行う傍ら、母校である日本大学の獣医麻酔・呼吸器学研究室の大学院研究生として研究活動を並行して行っています。

【専門分野から見たチーム獣医療における動物看護師の役割とは】

 本学に来て一番驚いたのは、付属動物医療センター専属の動物看護師の人数が多いこと、さらに皆さんの活躍の幅が非常に広いことでした。付属動物医療センターの現職の動物看護師は本学の卒業生が多く在職しており、大学での教育がその基礎になっているのだろうと考え、とても興味深く感じました。私の分野ですと特に外科診療科における話になってしまいますが、動物看護師の活躍により獣医師は動物の診断や治療に専念することができますし、手術室では器具、機材の管理や、実際に手術チームの一員として器具係、外回り、麻酔補助、そして術後の集中治療管理といった部分で大きな役割を担ってくれているように感じています。
 人医療ではオペ看護師といわれるような外科を専門とする看護師や、麻酔に関わる全ての分野を専門とする周麻酔期看護学といった領域も存在し、その役割の重要性が伺えますので、獣医療においても今後重要な分野になると考えています。

【今後の抱負を聞かせてください】

 最近は動物をペットとしてではなく、大切な家族の一員と考える家族が増えてきており、獣医療に求める期待はますます大きくなっています。そのような背景もあって、獣医療も人医療と変わらないレベルにまで進歩してきていますが、獣医師だけでそれを実践し続けるには限界を迎えてきています。これからは動物看護師の方々を含めたチーム獣医療の実践が必要になってくると思います。私の専門としている麻酔・疼痛管理学は、海外では訓練を積んだ動物看護師が実践可能な分野ですので、今後日本の獣医療でも取り入れることができたらと思っております。もし、そのような分野に興味のある学生さんがいらっしゃったら、是非一緒に頑張りたいと考えております。どうぞよろしくお願いします。