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草の牛乳
―牛乳の未来を拓く人々―

野原由香利 (農山漁村文化協会 2007年)
2010/03/24更新 030号
以前、「シュウカツの友」で紹介した『牛乳の未来』の著者が、放牧についてさらにさらに取材を重ね、出版した本である。
北海道十勝の「足寄町放牧酪農研究会」などグループを紹介しつつ、各酪農家の個々の声を拾っているのが面白い。このグループは全戸が経営好転したという、稀な例だそうだ。他に、高知県南国市の酪農家も紹介されている。

以前、島根県の隠岐島に行ったとき、観光バスの中から運転手さんが山を指差して「あのあたりにいるのは、うちの牛ですわ」と言って、びっくりしたことがあった。
副業として、放牧していると言うのである。牛は牛舎などに入れず、ほっぽらかしで、山の急斜面で草を食べて暮らしている。足腰が鍛えられているから、お産もぜんぜん問題ないらしい。
隠岐は歴史的な観光スポットも多いのだけれど、この瞬間、バスの中はみんな、すごい反応を示していた。

本書のオビにあった「どういう農業をしたいかっていうのは、どういう生き方をしたいのか?ってことだと思うんです」という言葉で、それを思い出した。
読ませる一冊である。