社会経済の発展にともなって社会の広範囲な分野から、獣医師に対して多面的で高度な学識と技術が要請されています。高度な獣医学教育を行って国際化を図るには、臨床・応用獣医学等の実習または演習に重点を置いた卒業後に実社会で直ちに役立つ専門教育を行うことが必要です。
この背景を受けて、動物医療センターにおける実習において、学生は主治医によって飼い主の了解を得ることができた場合には、診療開始後の問診から診断を目的とした各種の検査、さらに治療を進める過程を理解できるよう説明を受けています。
卒業後獣医師の資格を得た後には、研修獣医師として診療に直接関わりながら専門教育を受けています。また、診療経験の豊富な獣医師であっても、新しく開発された診断や治療の方法を習得なさるために、研究生として動物医療センターに受け入れています。
研修獣医師の募集について近年、獣医学並びに獣医療及びその関連分野の著しい進歩に伴い、獣医臨床教育においても専門診療への細分化が進められ、それに見合う教育体制並びに診療体制へと変遷する傾向が強くなっています。しかし、大学教育における臨床教育は、教育資源の不足や法的制約により実践的診療技術の修得が十分に行われていません。そのような状況にもかかわらず、臨床獣医師に要求される知識・技能は、きわめて広範囲に及んでいます。
獣医師の卒後臨床研修は、獣医師法第16条の2に基づき「診療に従事しようとする獣医師が免許取得後に求められる研修」です。すなわち、臨床獣医師に対して社会が期待する動物医療を実践するために、大学教育で修得した知識や技術を、実際的臨床経験として体系的に修得するための研修になります。
前期卒後臨床研修の到達目標は、基本的にはインフォームド・コンセント、倫理などを含む「獣医療の社会的事項」ならびに診察法、検査法などを含む「獣医学の基本的臨床事項」を修得することにあります。ただし、その内容については適宜見直し、時代に適応させていきます。
後期卒後研修では、前期卒後研修で修得した知識、技能をもとに、より広範囲かつ専門的な知識、技能を修得し、前期研修獣医師の研修補助ができ、また研修終了後は直ちに臨床現場で診療できる能力を身につけることを目標にしています。
研修は、前期課程(1年間)と後期課程(1年間)の2年間のプログラムになっています。そして、研修終了者のうち希望者は、3年目以降にアドバンス研修課程を受けることが可能です。研修内容の詳細に関しては、以下を参考にしてください。
前期・後期プログラム | アドバンス研修プログラム (希望者のみ) |
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研修の方式 | 基本的に内科および外科診療のローテーション方式で実際的臨床事項を研修する総合診療形式 | 専門分野別に研修を行う形式 |
研修カリキュラムの具体的事項 |
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各専門分野(循環器科、内分泌科、腎臓科、呼吸器科、神経科、眼科、産科・生殖器科、麻酔科、軟部外科、整形外科、脳神経外科、腫瘍科、放射線治療科、救急医療科、消化器科、行動治療科、皮膚科)ごとに、研修目標に到達できる期間を設定し、各専門分野の特色を活かした、より専門的なカリキュラムで実施する。なお、専門分野は、複数にわたって選択することも可能である。 |
また基本的に1週間に1回(毎週金曜日)、研修医レクチャーを開催しております。1年間の予定表は以下の通りです。