ミトコンドリア遺伝子解析の結果、ヒトの祖先はおよそ400-500万年前に、二足歩行をすることによって森に棲むチンパンジーと分かれて進化し始めたと考えられています。この二足歩行によって行動範囲は広がりましたが、逆に肉食獣に狙われる危険も増えることになりました。豹の牙の跡が残ったヒトの頭蓋骨が発見されていることからも、ヒトの祖先が“one of the animals”として必死に生き延びていたことがわかります。その頃のヒトの祖先は、チンパンジー時代の主食であった木の実や果実のほかに、肉食獣が食べ残した死んだ獣や弱っている獣の肉をあさって食べる「腐肉あさり」をしていたといわれています。字のごとく腐肉をあさっていたのですから、運悪く腐った部分を食べた者は命を落としたでしょうし、また運良く衛生上問題のない部位にありつけた者は、良質のたん白質を多く摂取できて、生き延びる可能性がより高くなったと考えられます。