食のいま

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第47号:肉料理のある食卓風景⑥
     -偶発的な“腐肉あさり”から計画的な“集団狩り”へ-

 二足歩行を始めて、「腐肉(ふにく)あさり」とはいえ、動物の肉を食べるようになったわれわれヒトの祖先は、その後どうなったのでしょうか?

 まず、歩行に使わなくなった手から、さまざまな道具が生み出されるようになりました。そのなかには、石や木枝から作られたもので、動物を殺傷するに充分な武器としての性能を備えたものも出てきました。また、だんだんと二足歩行が板についてきて、前かがみ姿勢からより直立した姿勢が取れるようになってきました。その結果、喉の構造が変化し、咽頭に大きな空間が発達して、いろいろな音を声として出すことができるようになったのです。

 簡易ではあるものの殺傷性のより高い武器と、役割分担の会話ができる言葉の獲得により、人は集団で狩りをするようにまでなりました。今からおよそ30万年前とされています。また、2万年くらい前のヨーロッパやアメリカの地層のところどころから、動物(バイソン、ウマ、マンモスなど)の骨の堆積物がそれぞれの箇所で多量に見つかっており、これは、その動物の一群を追い込んだり、崖から追い落とすなどして仕留め、そこから肉を持ち去った証拠と考えられています。