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第75号:持続可能な目標(SDGs)達成のために食品系の大学ができること
−早期ゼミ制度を通じた教育研究活動の紹介−

 今現在、私が所属する農産食品学教室には、食品大好きプロジェクトの一環である早期ゼミ制度を利用して4名の1年生が所属しています。そのうち2名(以後、所属学生と呼びます)が、私と共に「SDGsの達成を目指した高機能性お菓子のレシピ開発」を研究テーマとして週1回のペースで研究を遂行しています。このテーマを通して、既往研究で得られた調理加工方法による食材中の機能性向上効果をベースとして、人々が簡単に摂食できるようなお菓子に反映させ、最終的に食べながら健康増進を促すようなお菓子の製造レシピの開発とそのお菓子(レシピ)の普及を目指します。1年生は時間割に余裕がなく、忙しい毎日を送っていますが、合間の自主調査と並行して着実にテーマを進めています。
 すでに多くの方々に知られるようになったSDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年に国連で採択された「2030年までの達成をめざす17の目標」のことであり、学術機関においても目標達成のために行動することが求められています(図1)。

図1 SDGs 17の目標※1

学生にとって、自分自身が目標達成のためにできることは何かを問われると、すぐに回答できないかもしれません。しかしながら、社会情勢や身の回りの状況を、時間をかけてゆっくりと上記の目標と向き合ってみると、食品科学を学ぶ学生ならではのアイディアが浮かぶようです。実際に、所属学生は、自身の研究テーマが4つの目標達成に貢献できる可能性を見出しました(図2)。

図2 私たちの研究テーマの流れと研究を通して達成できるSDGsの目標

 研究テーマの軸となるのは、高機能性お菓子の製造です。製造における材料選定や完成したお菓子(レシピ)の活用や普及も、食品系の研究を進める上で大切にするべきポイントです。そのため、材料選定・調理加工方法の確立・地域連携・健康支援という4つのプロセスを挙げて、それぞれ達成し得る目標を掲げました。実際には、もっと内容や手段を詰める必要があると共に、色々なご意見があるかと思いますが、よいアイディアが集まったように私は感じています。
 今後は主に調理加工方法の検討を進めていきますが、他3つのプロセスで地域や各専門の方々と連携できればと思っています。本研究テーマの遂行は、食品系の大学が教育を通した上でSGDs達成のために貢献できる一歩だと考えます。

※1 外務省 Japan SDGs Action Platform, SDGs とは?
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html#about_sdgs(最終閲覧日: 2023年12月7日)