大学院獣医生命科学研究科長挨拶

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大学院獣医生命科学研究科長
盆子原 誠
(獣医臨床病理学研究室 教授)

 社会はこれまでのSociety 4.0(情報社会)から、仮想空間と現実空間を高度に融合させたSociety 5.0へと向かっています。Society 5.0では、全ての人とモノがつながり、膨大な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値が生み出されます。これによって社会における問題・課題に新たな解が示されていくと考えられます。このようなSociety 5.0へ向かう大きな潮流の中で、知の生産と価値の創造を先導する知のプロフェッショナルの重要性はかつてないほど高まっています。そして大学院こそ、この知のプロフェッショナルを育成する中心的な存在と言えます。
 近年の新型コロナウイルスの問題から、今後も我々は常に人獣共通感染症の脅威にさらされることを強く認識しました。また、世界的な食糧・エネルギー問題は、気候変動のような地球規模の変化だけでなく、地域情勢の変化に敏感に反応して生じることも理解しました。おそらく、これからも人類の前には生命や食にかかわる深刻な問題が突きつけられると思います。このような問題に対して、獣医学、獣医保健看護学、応用生命科学はイノベーションを武器に新たなソリューションを提案できる学術領域と言えます。このため、これらの領域における高度専門人材、すなわち知のプロフェッショナルの育成がきわめて重要であり、それを行うことが本学大学院の重要な責務と考えています。
 大学院では論理性、批判的思考力、コミュニケーション能力などの普遍的なスキルやリテラシー、また、高度な専門知識、自ら課題を発見し仮説を構築・検証する力などを身に着けることが必要となります。さらにSociety 5.0に向けて、膨大な情報の処理・活用能力、異分野を理解し連携・統合する力などを強化していく必要があります。本学大学院では、大学院生がこれらの能力を身に着けるよう教員一丸となって最大限の後押しを行います。そして、高度な専門的知識と倫理観に基づいて、自ら考え行動し、新たな知を創り、そこから新たな価値を生み出し、既存の枠を超えて活躍できる人材の育成を行います。