研究内容
平滑筋組織は、血管などの循環器、胃腸などの消化管、子宮、精管、前立腺、尿道、膀胱などの泌尿生殖器等、さまざまな臓器に分布しています。そして、消化管運動、血圧の調整、排尿器、生殖器の調整など心臓以外の内臓や感覚器の生理機能に平滑筋は非常に重要な役割を担っています。平滑筋細胞はとても小さな紡錘形の細胞でも組織学的には臓器による違いはありませんが、他細胞との連携もあり、また複数の細胞の集合体では臓器機能や薬の感受性は異なります。私はある種のポリフェノールや新規糖尿病治療薬による血管弛緩作用と内皮細胞機能に関連性を見出し、これらの薬が心不全や動脈硬化の予防効果が知られている一酸化窒素(NO)の合成遊離作用をex vivoの実験で見つけ、NO合成酵素(eNOS)を活性化する機序を明らかにするために研究を進めています。eNOSの活性化機序は諸説あり、充分には明らかになっていません。複数の薬のeNOSの活性化機序を調べることは、eNOSの活性化機序のスタンダードを明らかに出来るのではないかと考え研究を進めています。
また、多様な臓器の平滑筋収縮とホスホジエステラーゼアイソザイムの関連の機能解析も行っており、新規医薬品の開発につながる研究も行っています。