獣医薬理学

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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

指導教員

金田 剛治 -KANEDA Takeharu-

学位 : 博士(獣医学)
(日本獣医畜産大学)
職位 : 教授
場所 : D棟4階 獣医薬理学研究室
E-mail : t-kaneda(@mark)nvlu.ac.jp
researchmap : B000250269
ORCID ID : 0000-0003-1254-100X
KAKEN研究者番号 : 10350175

主たる研究テーマ
Ex vivoによる平滑筋機能の薬理学的解析

研究キーワード
平滑筋収縮・ドラックリポジショニング・血管内皮細胞

研究内容

 平滑筋組織は、血管などの循環器、胃腸などの消化管、子宮、精管、前立腺、尿道、膀胱などの泌尿生殖器等、さまざまな臓器に分布しています。そして、消化管運動、血圧の調整、排尿器、生殖器の調整など心臓以外の内臓や感覚器の生理機能に平滑筋は非常に重要な役割を担っています。平滑筋細胞はとても小さな紡錘形の細胞でも組織学的には臓器による違いはありませんが、他細胞との連携もあり、また複数の細胞の集合体では臓器機能や薬の感受性は異なります。私はある種のポリフェノールや新規糖尿病治療薬による血管弛緩作用と内皮細胞機能に関連性を見出し、これらの薬が心不全や動脈硬化の予防効果が知られている一酸化窒素(NO)の合成遊離作用をex vivoの実験で見つけ、NO合成酵素(eNOS)を活性化する機序を明らかにするために研究を進めています。eNOSの活性化機序は諸説あり、充分には明らかになっていません。複数の薬のeNOSの活性化機序を調べることは、eNOSの活性化機序のスタンダードを明らかに出来るのではないかと考え研究を進めています。

 また、多様な臓器の平滑筋収縮とホスホジエステラーゼアイソザイムの関連の機能解析も行っており、新規医薬品の開発につながる研究も行っています。

指導方針

 これまでに、1名の獣医学専攻博士課程と獣医保健看護学専攻博士前期課程1名の大学院生を指導し1名の博士課程の大学院生を指導しています。指導方針としては、様々な情報から自分で処理し考える力を身に着けることです。

 本研究室の研究の特徴は、まず薬による平滑筋収縮反応という現象からスタートします。薬が筋を収縮・弛緩する理由を見つけるのが最終目的です。それを明らかにするには、「どのような実験方法があるのか」、「どんな阻害薬を使えばいいのか」などの情報を調べるところから学生と対話しながら進めることを心がけてきました。また、学生本人が発表しないときでもなるべく学会に参加してもらい、他の研究者の発表を見て、最新の研究内容に触れ、また他の研究者の考え方を学ぶ機会を与えることにより学生がなるべく広い知識と視野を持てるように心掛けてきました。

 基礎の研究は、臨床研究に比べ地味ですぐに世の中に役立つ成果は得られませんが、学生が行った研究がライフサイエンス分野にどのように貢献できたかを自負できるよう指導を行うことが、大学院指導教員の責任だと思っています。

主な学術論文

1. Aerobic metabolism on muscle contraction in porcine iris sphincter
Kanda H, Kaneda T, et al., (2016).
(大学院生筆頭著者、2016年度獣医学専攻博士課程修了)
J Vet Med Sci, 78(11):1673-1676.
DOI: 10.1292/jvms.16-0175
ブタ虹彩括約筋収縮の好気的代謝との関連性を解析
2. Phloridzin inhibits high K+-induced contraction via the inhibition of sodium: Glucose cotransporter 1 in rat ileum
Kanda H, Kaneda T, et al. (2017).
(大学院生筆頭著者、2016年度獣医学専攻博士課程修了)
J Vet Med Sci, 79(3):593-601.
DOI: 10.1292/jvms.16-0560
回腸平滑筋収縮とSGLT1を介したグルコース動態の関連性を解析
3. Endothelium-independent vasodilator effects of nobiletin in rat aorta
Kaneda H, Otomo R, Sasaki N, Omi T, Sato T, Kaneda T. (2019).
(大学院生筆頭著者、2018年度獣医保健看護学専攻博士前期課程修了)
J Pharmacol Sci, 140(1):48-53.
DOI: 10.1016/j.jphs.2019.04.004
ノビレチンによる血管弛緩機序にグアニル酸シクラーゼ活性化とATP感受性Kチャネルの開口が関連することを明らかにした。