比較動物医学

大学院 MENU
日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

指導教員名:横須賀 誠
職位:教授
学位等:博士(獣医学)
researchmap
KAKEN研究者番号:90280776
J-GLOBAL ID:200901081039944616
主たる研究テーマ:味覚と嗅覚の相互作用(化学感覚の統合)
研究キーワード:風味、味覚、嗅覚、島皮質
場所:D棟1階 比較動物医学研究室
E-mail:mayokosuka●nvlu.ac.jp
※●を@マークに変換してください。

研究内容

「美味しい匂い」と「不味い臭い」が生まれる神経基盤の解明
 「美味しい、不味い」の感覚の中心は嗅覚と味覚です。多くの動物は、食経験を通じて食物のニオイと味を結びつけて「美味しい匂い」「不味い臭い」を学習し、食物への嗜好性・嫌悪性を身につけます。食物への嗜好性・嫌悪性は、人間や動物の栄養管理に重要ですが、嗅覚と味覚の相互作用の脳内機構は十分には解明されていません。私達は、多感覚統合機能を持つ島皮質に注目し、実験動物マウスをモデルに、行動解析、in vivoイメージング、組織化学を組み合わせて、味覚と嗅覚の相互作用の神経基盤を解明する研究を行なっています。

実験動物とヒトの双方に優しい飼養管理技術の考案
 適切な実験動物の飼養管理は、安定した実験データの取得に不可欠です。マウスは、生物学的にヒトとの接触を好まない動物と考えられており、近年では、チューブなどの器具を応用してヒトがマウスに直接触れない管理方法が考案されています。一方、器具の使用方法が不適切だとヒトとマウスの双方に大きなストレスとなります。私達は、管理を受けるマウスの生体反応をリアルタイムに記録、応答性を解析することでより安全な器具の使用方法、新しい管理手技を考案する研究を行なっています。

指導方針

「美味しい匂い」と「不味い臭い」が生まれる神経基盤の解明
 本研究は、脳のin vivoイメージングを行う実験機器を現有している他機関との共同研究で進めています。脳の神経活動観察のための装置を装着したマウスを、自由行動下で摂食行動・飲水行動を行わせて、リアルタイムで味覚と嗅覚の相互反応が生まれる神経活動を記録・解析するシステムの開発を行なっています。本研究を行う大学院生は、本学と他機関の双方で研究を進めることになりますが、それにより幅広い人脈が生まれることが期待されます。獣医学に留まらず、医学・歯学、神経科学分野の研究に飛び込みたい学生さんに来ていただきたいです。

実験動物とヒトの双方に優しい飼養管理技術の考案
 近年では、実験動物の飼養管理にも動物行動学の考え方が導入されるようになり、動物の行動を指標とした新しい管理技術が考案されています。私達は、行動解析に加えて、マウスから非接触的に体温変化や情動変化に同期した発声などを記録しています。ヒトによる飼養管理が及ぼすマウスへの影響を通じて、実験動物マウスの学習や情動に関わる研究をしてみたい学生さんに来ていただきたいです。

主な学術論文

1. Ishii A, Yokosuka M. et al.,2022(大学院生筆頭著者)
Tau-binding protein PRMT8 facilitates vacuole degeneration in the brain.
J Biochem. 172: 233-243.
(アルツハイマーモデルマウスの脳内でTauタンパク質に結合する因子を解析した)
2. Yokosuka M. 2012
Histological properties of the glomerular layer in the mouse accessory olfactory bulb.
Exp. Anim. 61; 13-24
(マウス副嗅球を構成するニューロンの詳細な形態を明らかにした)
3. Yokosuka M. et al., 2009
Histological properties of the nasal cavity and olfactory bulb of the Japanese jungle crow Corvus macrorhynchos, Chem Senses34: 581-593
(ハシブトカラスの鼻腔構造と嗅球の構造を初めて明らかにした)
4. Yokosuka M. et al.,1997
Postnatal development and sex difference in neurons containing estrogen receptor immnunoreactivity in the preoptic brain, the diencephalon and the amygdala in the rat.
J. Comp. Neuro. 389: 81-93.
(ラットの脳内エストロジェン受容体タンパク質の分布様式が生後発達で変化することを初めて明らかにした)