獣医寄生虫学

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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

常盤 俊大 -TOKIWA Toshihiro-

学位 : 博士(医学)(東京医科歯科大学)
職位 : 准教授
場所 : D棟4階 獣医寄生虫学研究室
E-mail : tokiwa(@mark)nvlu.ac.jp
researchmap : B000247236
ORCID ID : 0000-0003-1943-5146
KAKEN研究者番号 : 50757755

主たる研究テーマ
動物の寄生性真核生物に関する研究

研究キーワード
人獣共通感染症、野生動物、エキゾチック動物、コンパニオンバード、分子系統解析、病理組織検査

研究内容

 対象とする宿主動物はアリからクジラまで、それらに寄生する真核生物であれば全てを研究対象としています。寄生虫が未記載種(いわゆる新種)であれば、積極的に種記載を行い、感染・流行状況の実態調査や病原性解析、公衆衛生学的学的な影響評価に向けた研究を行うこともあります。新記載に関わったものとして、類人猿の繊毛虫10種、カエル・ウサギ・ブンチョウのコクシジウム原虫5種、イノシシの住血原虫1種、キンカジューの回虫1種などがいます。このほか、希少動物や外来生物、エキゾチック動物、コンパニオンバードにおける新しい寄生虫・寄生虫病についても調べています。

指導方針

 寄生虫学は獣医学の中でも古い学問ですが、まだまだ不明なことだらけです。例えば、イノシシの血液や筋肉を調べたら、その5割以上の個体に原虫がいました。文献調査を行い未記載種であることがわかり、新種として記載しました。分類というとマニアックにも思えますが、今後、豚やヒトへの感染性や、生活環、感染経路、国内外の分布などを調べていくためのベースになる研究でもあります。こういった寄生虫の発見はチャンスで、特に野生動物や希少種は特に研究題材の宝庫であると考えています。また、エキゾチック動物の診療において見かける寄生虫も“実は未記載種”だったとか、形態が似ていたけど“別種だった”というケースもざらです。身近に、病原性や駆虫法はおろか、種類さえ分かっていない寄生虫は眠っていませんか?

 研究テーマは、大学院生本人が興味のある動物や病原体について、何を明らかにしたいのか、そして、そこから得られる結果のインパクトについて十分に相談した上で決定します。得られた成果については、対外的な発表の機会の場を積極的に設けます。英文国際誌への投稿にあたっては、原稿の作成から、校正、投稿そしてリバイズまでの手順を丁寧に指導します。このほか、寄生虫症に関する症例報告論文を国際誌に投稿することも推奨しています。

主な学術論文

1. Molecular characterization of oriental eyeworm (Thelazia callipaeda) detected from raccoon and Japanese raccoon dog in Kanto region, Japan
Kandai Doi, Toshihiro Tokiwa, Miyu Imoto, Shyun Chou, Fumiaki Yamasaki, Takuya Kato, Shin-ichi Hayama. (2023).
Parasites & Vectors., 16: 116.
DOI: 10.1186/s13071-023-05736-x
人獣共通寄生虫・東洋眼虫:関東の外来種アライグマの感染状況と遺伝子解析について
2. Three new species of Eimeria from the Amami rabbit, Pentalagus furnessi (Mammalia: Leporidae)
Toshihiro Tokiwa, Shyun Chou, Hina Kitazoe, Keiko Ito, Ryouta Torimoto, Yuki Shoshi, Chizu Sanjoba, Masami Yamamoto, Hisashi Yoshimurae. (2022).
Int J Parasitol: PAW, 18: 194-200.
DOI: 10.1016/j.ijppaw.2022.05.006
特別天然記念物アマミノクロウサギのコクシジウム:アイメリア属3種の新種記載
3. Genetic characterization of Trichomonas gallinae in companion birds in Japan and the genotypical relationship in the Asia resion
Shyun Chou, Shinichiro Hadano, Atsushi Kojima, Mario Yorisaki, Masaru Yasuda, Kazunori Ike, Toshihiro Tokiwa. (2022).(大学院生筆頭)
J Microbiol Immunol Infect, 55: 527-534.
DOI: 10.1016/j.jmii.2021.05.010
飼鳥のトリコモナス:流行拡大する原虫系統の解析について
4. Detection of Eumonospora henryae (Apicomplexa: Sarcocystidae) from Falco columbarius (Falconiformes: Aves): Comparison of host–parasite phylogram and comments on the family Sarcocystidae Poche, 1913
Shyun Chou, Nobumoto Izawa, Kazunori Ike, Toshihiro Tokiwa. (2021).(大学院生筆頭)
Int J Parasitol, 14: 75-83.
DOI: 10.1016/j.ijppaw.2021.01.002
猛禽類のコクシジウム:新宿主報告と新亜科エウモノスポラ亜科の提唱について
5. Hyaloklossia Labbé, 1896 (Alveolata: Apicomplexa) in frogs: Description of a new species and proposing a new subfamily to accommodate these enigmatic parasites
Toshihiro Tokiwa, Shyun Chou, Yuki Tochigi, Kentaro Katayama, Donald W. Duszynski. (2021).
Int J Parasitol, 15: 199-207.
DOI: 10.1016/j.ijppaw.2021.05.005
カエル類のコクシジウム:ヒアロクロッシア属の新種と新亜科の提唱について
6. Resurrection of the genus Eumonospora (Apicomplexa: Sarcocystidae) for Caryospora species without Stieda body
Shyun Chou, Toshihiro Tokiwa, Shinichiro Hadano, Nobumoto Izawa, Michihiro Ueda, Atsushi Kojima, Kazunori Ike. (2020).(大学院生筆頭)
Parasitol Int, 77: 102101.
DOI: 10.1016/j.parint.2020.102101
猛禽類のコクシジウム:エウモノスポラ属の再提唱について