研究内容
魚類脾臓の誘導性免疫微小環境
獲得免疫の成立に不可欠な免疫細胞間の相互作用は二次リンパ組織と呼ばれる“免疫の基地”で行われています。哺乳類ではリンパ節が主な“免疫の基地”ですが、魚類にはリンパ節がありません。養殖魚の感染症対策にワクチンが有効であることを考えると、魚類にも“免疫の基地”はあるはずです。脾臓もまた“免疫の基地”の役割を担っていますが、哺乳類と魚類では、その組織構造が大きく異なります(図1)。
私達の研究グループでは、ワクチン(死滅した魚類病原細菌)を投与したヒラメの脾臓を詳細に調べ、ある特定の場所に免疫細胞が集族する現象を発見しました(図2)。
この集族部では、獲得免疫を担うT細胞と抗原提示細胞の接触が見られたことから、細胞間の相互作用が行われている可能性があります。現在、ワクチン投与によって誘導される脾臓免疫微小環境の構造的・機能的特徴を解析し、魚類特有の“免疫の基地”を解明すべく研究を進めています。