獣医疾病予防学

大学院 MENU
日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

指導教員名:田中 良和
職位:教授
学位等:博士(獣医学)
researchmap
KAKEN研究者番号:50291159
J-GLOBAL ID:201601010063032190
主たる研究テーマ:猫伝染性腹膜炎の予防及び治療法の開発
研究キーワード:ウイルス、感染症、分子細胞生物、蛋白質分解
場所:D棟3階 獣医衛生学研究室
E-mail:ytanaka●nvlu.ac.jp
※●を@マークに変換してください。

研究内容

 ネココロナウイルスは世界中の約70%の飼い猫に感染しており、そのうち7~10%の猫が猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症します。FIPは腹水や胸水の貯留、神経障害、ブドウ膜炎、化膿性肉芽腫性炎などの症状を伴い、発症すればほぼ100%死に至る感染症です。しかしながら、有効なワクチンがなく、近年著効を示す未認可の薬品が見つかったばかりです。一般に抗ウイルス薬が開発されても、翌年には耐性ウイルスが出現します。このように感染症との戦いには終わりはなく、複数の薬剤を同時に投与する多剤併用療法が最も効果的な手段と言えます。我々は現在に至るまで様々な抗FIP薬を見つけてきましたが、臨床的に有効なものは極わずかです。このため、今後とも新たな抗ウイルス薬を見つけ出し、臨床的にその効果を検証する必要性があります。ネココロナウイルスはCOVID-19より病原性が強く、同じ薬剤を処方しても必ず寛解するとは限りません。これはウイルス複製形式がCOVID-19とは若干異なり、抗ウイルス薬開発のために解明しなくてはならないことが数多くあります。少しでも多くの感染猫を助けられるよう抗ウイルス薬の開発を目標に日々研究しています。

指導方針

 ウイルスは生きた細胞なしでは複製できないのが特徴です。このため、研究材料としてウイルスを扱うには細胞培養を行うことが必須です。また、ウイルスが複製時に細胞側の生理機能を利用するため、この複製を阻害するためには正常な細胞生理を理解していないと太刀打ちできません。本研究室では専門のウイルス学、感染症学に関する論文を理解することも大切ですが、細胞生理機能の知識を把握し、自分の実験テーマにいかに利用できるかを常に考えることが要求されます。このため、文献ゼミでは幅広い知識を得るために細胞生物学専門の学術雑誌を熟読することが必要です。また、ウイルスは目に見えないので間接的に可視化するためにmRNAの定量(定量PCR法の利用)や蛋白解析、共焦点レーザー顕微鏡による観察とともにその結果を統計学的処理やバイオインフォマティクスを利用して定量化することも必要です。また、標的蛋白を細胞で強制的あるいは恒常的に発現させ、時には標的遺伝子をCRISPR-Cas9系によりノックアウトすることもあります。これらのテクニックを習得しつつ、得られた結果を論文としてアウトプットできるように大学院生を指導します。

主な学術論文

1. Rui Nishijima, Takuro Endo, Enkhjavkhlan Gankhuyag, Shwe Thiri Maung Maung Khin, Sheikhy Mohammad Jafar, Yuta Shinohara, Yoshikazu Tanaka, Kazumi Sawakami, Masafumi Yoda, Tetsuya Furuya.
Detection of anti-feline infectious peritonitis virus activity of a Chinese herb extract using geneLEAD VIII, a fully automated nucleic acid extraction/quantitative PCR testing system.
The Journal of veterinary medical science 2023年2月17日
2. . Kei Shimakawa, Kazuhiko Ochiai, Sachi Hirose, Eri Tanabe, Masaki Michishita, Motoharu Sakaue, Yasunaga Yoshikawa, Masami Morimatsu, Tsuyoshi Tajima, Masami Watanabe, Yoshikazu Tanaka.
Canine Mammary Tumor Cell Lines Derived from Metastatic Foci Show Increased RAD51 Expression but Diminished Radioresistance via p21 Inhibition.
Veterinary sciences 9(12) 2022年12月17日
3. Yoshikazu Tanaka, Eri Tanabe, Yuki Nonaka, Mitsuki Uemura, Tsuyoshi Tajima, Kazuhiko Ochiai.
Ionophore Antibiotics Inhibit Type II Feline Coronavirus Proliferation In Vitro.
Viruses 14(8) 1734-1734 2022年8月6日
4. Marika Maeda, Kazuhiko Ochiai, Masaki Michishita, Masami Morimatsu, Hiroki Sakai, Nayuta Kinoshita, Motoharu Sakaue, Eri Onozawa, Daigo Azakami, Masami Yamamoto, Katsumi Ishioka, Takuya Sadahira, Masami Watanabe, Yoshikazu Tanaka.
In vitro anticancer effects of alpelisib against PIK3CA‑mutated canine hemangiosarcoma cell lines.
Oncology reports 47(4) 2022年4月
5. Nana Ushine, Osamu Kurata, Yoshikazu Tanaka, Tatsuo Sato, Yoshihiro Kurahashi, Shin-Ichi Hayama.
The effects of migration on the immunity of Black-headed gulls (Chroicocephalus ridibundus: Laridae
The Journal of veterinary medical science 82(11) 1619-1626 2020年9月21日

指導教員名:落合 和彦
職位:准教授
学位:博士(獣医学)
researchmap
KAKEN研究者番号 30550488
ORCID ID:0000-0002-5736-0598
主たる研究テーマ:伴侶動物のがん関連遺伝子に関する研究
研究キーワード:遺伝子・蛋白質・がん・細胞生物学・分子生物学
場所:D棟3階 獣医衛生学研究室
E-mail:kochiai●nvlu.ac.jp
※●を@マークに変換してください。

研究内容

 ヒトは様々な動物を家畜化し、長年にわたって品種改良を進めてきました。その中でイヌは約1万年前に家畜化されて以降、驚異的な速さで他に類を見ない品種多様性を獲得しました。私は「イヌで乳腺腫瘍発症が非常に多いこと」、「イヌは品種多様性が大きいこと」に関連性を見出し、イヌを乳腺腫瘍発症機構解明および、種の進化速度決定因子のランドマークに出来るのではないかと考え研究を進めています。ヒトで遺伝性乳がん原因遺伝子であるBRCA2という遺伝子は、その変異が乳腺腫瘍発症に繋がります。BRCA2はDNAの2本鎖切断時にRAD51等の相互作用分子と協働し、相同組換え修復を行ってゲノムの安定性を維持しています。相同組換え修復は、配偶子形成時の父母由来染色体シャッフルにも密接に関与しています。乳腺腫瘍が多く、品種多様性に富むイヌはこの機構に特徴があるのではあるのでは?と予測し、関連分子群の相互作用様式の解析と相同組換え効率の数値化と比較を中心に研究を行っています(研究内容イメージ図参照)。

 また、伴侶動物の多様ながん関連遺伝子の変異検索と機能解析も行っており、新規の早期遺伝子診断法や治療戦略の開発も行っています。

指導方針

 これまでに、3名の獣医保健看護学専攻博士前期課程の大学院生指導経験があります。指導方針としては、学生の状況に合わせて最適な指導を学生と対話しながら進めることを心がけてきました。学部を卒業して就職した学生は、同じ時期に収入を得ながら社会で様々なスキルを身に着けます。一方、大学院生は、学納金を支払いながら学業を続けます。そのため、在学中により多くのスキルを身に着け、将来への可能性を拡げる指導を行うことが、大学院指導教員の責任だと思っています。
 研究者のタマゴである大学院生が、日々自分の成長を感じ、社会で活躍する同級生に負い目を持たないで研究を続けられるよう、目に見える成果の獲得を目指した研究指導を行っていきます。論文や学会発表などの研究業績は将来への可能性の具現化であるとともに、様々な金銭的サポートに繋がるチャンスの種でもあります。その価値を学生と共有し、戦略的な大学院生活を目指します。

主な学術論文

1.Kawakami S, Ochiai K. et al., 2020. (大学院生筆頭著者、2019年度獣医保健看護学専攻博士前期課程修了)
Novel canine isocitrate dehydrogenase 1 mutation Y208C attenuates dimerization ability.
Oncol Lett. 2020 Dec;20(6):351. doi: 10.3892/ol.2020.12214.
イヌのグリオーマ原因遺伝子の新規変異の発見とそれに伴う機能変化を解析
2.Uemura M, Ochiai K, et al., 2020. (大学院生筆頭著者、2021年度獣医保健看護学専攻博士前期課程修了)
The canine RAD51 mutation leads to the attenuation of interaction with PALB2.
Vet Comp Oncol. 2020 Jun;18(2):247-255. doi: 10.1111/vco.12542.
イヌRAD51遺伝子変異が引き起こす分子機能変化を解析
3.Kawakami S, Ochiai K. et al., 2018.(大学院生筆頭著者)
R132 mutations in canine isocitrate dehydrogenase 1 (IDH1) lead to functional changes.
Vet Res Commun. 2018 Mar;42(1):49-56. doi: 10.1007/s11259-017-9707-8.
イヌのグリオーマ原因遺伝子IDH1の変異および機能変化を解析
4.Kawakami S, Ochiai K. et al., 2018.(大学院生筆頭著者)
Functional alteration of canine isocitrate dehydrogenase 2 (IDH2) via an R174K mutation.
J Vet Med Sci. 2018 Jan 27;80(1):85-91. doi: 10.1292/jvms.17-0362.
イヌのグリオーマ原因遺伝子IDH2の変異および機能変化を解析
5.Kato Y, Ochiai K. et al., 2017. (大学院生筆頭著者、2017年度獣医保健看護学専攻博士前期課程修了)
Canine REIC/Dkk-3 interacts with SGTA and restores androgen receptor signalling in androgen-independent prostate cancer cell lines.
BMC Vet Res. 2017 Jun 9;13(1):170. doi: 10.1186/s12917-017-1094-4.
イヌ難治性前立腺がん発症機構に関わるSGTA遺伝子の機能解析
6.Kato Y, Ochiai K. et al., 2015.(大学院生筆頭著者)
Molecular cloning of canine co-chaperone small glutamine-rich tetratricopeptide repeat-containing protein α (SGTA) and investigation of its ability to suppress androgen receptor signalling in androgen-independent prostate cancer.
Vet J. 2015 Nov;206(2):143-8. doi: 10.1016/j.tvjl.2015.08.002.
イヌ前立腺がん増悪因子SGTAの構造および機能解析