研究内容
私は食中毒原因菌の生態解明を通じて、原因菌を食品の汚染源から排除することを目指した研究を進めています。
現在、注目している食中毒原因菌はリステリアです。多くの食中毒原因菌(サルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌など)は本来、人を含む動物の消化管に生息していますが、リステリアは食品加工環境に常在していることが知られています。ここで、人や動物の生体内環境と食品加工施設などをはじめとする環境は、温度や栄養条件などの環境要因が全く異なっており、それに伴って両環境に生息している細菌種も全く違うとされています。ところがリステリアをはじめとするごく一部の病原細菌は、生体の内外を問わず分離されることから、多様な環境に適応して発育できる能力をもつことが分かっています。私はリステリアの幅広い環境に対する適応性に着目し、この適応性がどのような菌の性状に起因するかに関して解析を進めています。現在は特に、リステリアが発育・生残に好ましくない環境に置かれた状態でどのような対応(ストレス耐性)に着目した解析を展開しています。