研究内容
これまで、自治医科大学においてヒトの輸血に重要なRh式血液型[2]や三日熱マラリア原虫の受容体である Duffy 式血液型[1]や本態性高血圧の分子遺伝学的解析[3]、スイス連邦工科大学(ETH)チューリッヒ校で動物の血液型の責任遺伝子を同定してきました。その後、獣医学部獣医保健看護学の分野に入り「医療・福祉に役立つ遺伝情報の探求」を理念に研究室を運営しています。
ヒトと同様に伴侶動物における輸血療法は有効かつ不可欠で、安全な輸血医療を行う上で血液型物質の研究は臨床的に重要です。また、獣医臨床の現場では愛玩動物動物看護師の方々が血液型検査を実施する機会も増えています。さらに、血液型物質は輸血のみならず、その本体は何らかの生理機能を有し、また一部は疾患とも関連しています。そのような背景から、現在獣医保健看護学に血液型物質を中心とした分子遺伝学的研究を展開しています。また、分子遺伝学は様々な解析のツールですので、血液型物質のみ捉われず獣医保健看護学領域で興味のあるテーマにも取り組んでいます。
図 ネコAB式血液型における交差適合試験不適合ネコの表現型と遺伝子型の特徴[4]