動物環境科学

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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

概要

 病態病理学分野では、希少種を中心とする野生動物・動物園動物に発生する疾病について、病理形態学的・分子病理学的手法を用いて解析を行うことで、種の保存に資する研究を行う。保全生物学分野では、野生動物の生態及び生息環境を調査研究し、野生動物の適正な保護管理に向けた具体的な対策を検討する。公衆衛生学分野では、野生動物や飼育動物からの試料を使用した生物モニタリングにより、疾病のモデル化や環境汚染を把握する。その他、獣医学における重要なテーマの一つである動物と人の共生、食品衛生などをテーマとする。各種機器分析、遺伝子解析、アンケート調査法などの手段を用いて解析を行う。以上を通じて、深い洞察力を養い、研究成果を論文として完成させ、時代に応じた環境諸問題解決に有用な研究者あるいは指導者を養成する。

指導教員

小林 眞理子 -KOBAYASHI Mariko-

博士課程(前期)及び博士課程(後期)の指導教員
学位 : 博士(農学)
職位 : 教授
KAKEN研究者番号 : 50409257
研究キーワード
環境衛生、食品衛生、生物モニタリング、動物介在介入など
場所 : E棟4階 応用部門疫学・公衆衛生学分野
E-mail : m-mochi(@mark)nvlu.ac.jp
詳細

研究内容

「人の健康の保持・増進」を目的とする公衆衛生に関係する研究を行っています。環境・食品衛生、動物介在介入(ただし動物に関する研究内容)などの研究内容が幅広いことが特徴です。

指導方針

積極的に研究・ゼミ・実習の補助に参加してくれる学生を求めます。

主な学術論文

1. Shono S, Gin A, Minowa F, Okubo K, Mochizuki M. (2020).
The oxidative stress markers of horses—the comparison with other animals and the influence of exercise and disease.
Animals, 10, 617.
DOI: 10.3390/ani10040617
2. Mochizuki M, Nozawa S, Minowa F, Okubo K, Tazaki H. (2018).
Serum bromine concentrations in horses in Japan.
J Vet Med Sci, 80, 1228–1232.
DOI: 10.1292/jvms.17-0457
3. Gin A, Sato T, Tohei A, Miura R, Mizutani H, Amao H, Yamada Y, Kamiya S, Yosimura I, Mochizuki M. (2018).
Study of stress in dairy cattle during student practical training on a farm.
Jap J Vet Res, 66, 63-70.
4. Yoshikawa Y, Ochiai Y, Mochizuki M, Takano T, Hondo R, Ueda F. (2018).
Sequence-based characterization of listeria monocytogenes strains isolated from domestic retail meat in the Tokyo metropolitan area of Japan.
Jpn J Infect Dis, 71, 373–377.
5. Mochizuki M, Hayakawa N, Minowa F, Saito A, Ishioka K, Ueda F, Okubo K, Tazaki H. (2016).
The concentration of iodine in horse serum and its relationship with thyroxin concentration by geological difference.
Environ Monit Assess, 188, 226.
DOI: 10.1007/s10661-016-5221-7
業績詳細(Researchmap)





山本 俊昭 -YAMAMOTO Toshiaki-

博士課程(前期)及び博士課程(後期)の指導教員
学位 : 博士(農学)(北海道大学)
職位 : 教授
KAKEN研究者番号 : 30409255
研究キーワード
生動物、ツキノワグマ、魚類、テロメア、父性効果、酸化ストレス、地球温暖化
場所 : E棟4階 応用部門保全生物学研究分野
E-mail : tyamamoto(@mark)nvlu.ac.jp
詳細

研究内容

 近年の森林環境や社会構造の変化は、野生動物の分布域や行動パターンに影響を与え、人との軋轢も増加しています。本研究室が研究対象としているツキノワグマについては、農作物被害や人身被害の軽減が望まれていますが、個体数密度や繁殖力が低く、捕獲圧に対して脆弱な一面を持っています。すなわち、本種の保護管理には、個体群の絶滅と被害の発生という二つの相反するリスクを最小化する「リスク管理」が求められます。長野県軽井沢町周辺では、20年以上にわたってNPO法人ピッキオがツキノワグマの調査を行っており、個体の成長、分散、冬眠などに関する情報が蓄積されてきました。当研究室ではピッキオと共同研究を進め、野外調査を行うとともに、遺伝学や統計学の手法を駆使してデータの解析にあたっています。これら多くの個体数かつ長期的研究の成果は、動物の社会性の進化を理解することに大きく貢献するだけでなく、応用として効果的な保護管理方法の確立にも寄与することが期待されています。

指導方針

 大学院では、既存の問題を素早く解く力ではなく、まだ誰も解いていない未知の課題を解ける力が求められています。そのために、教員も一緒になって考え、課題を解決する術を見つけていきましょう。自主的、能動的に研究する姿勢があれば、解決する道は必ず見えてくると信じています。

主な学術論文

1. Yamamoto T., Kitanishi S. (2022).
Effect of paternal life-history form and egg size on offspring life-history traits in masu salmon Oncorhynchus masou.
Hydrobiologia, 849: 3149–3160.
DOI: 10.1007/s10750-022-04922-9
2. Yamamoto T., Kitanishi S., Metcalfe N. (2021).
Effect of parental phenotype on dispersal, growth and maturation of offspring in wild masu salmon (Oncorhynchus masou).
Evolutionary Ecology, 35: 253–269.
DOI: 10.1007/s10682-020-10098-2
3. Yamamoto T., et al. (2016).
Abiotic and biotic factors affecting the denning behaviors in Asiatic Black bears Ursus thibetanus.
Journal of Mammalogy, 97: 128-134.
DOI: 10.1093/jmammal/gyv162
業績詳細(Researchmap)






吉村 久志 -YOSHIMURA Hisashi-

博士課程(前期)及び博士課程(後期)の指導教員
学位 : 博士(獣医学)(日本獣医生命科学大学)
職位 : 准教授
KAKEN研究者番号 : 70645241
主たる研究テーマ
野生動物病理学(保全病理学)、獣医病理診断学、分子腫瘍病理学、犬の乳腺腫瘍
場所 : E棟4階 応用部門病態病理学研究分野
E-mail : yoshimura-h(@mark)nvlu.ac.jp
詳細

研究内容

 当研究室では、人と動物の共通性や特異性を比較しながら、疾病の原因や発症の仕組みを病理形態学・分子病理学的手法を用いて研究しています。特に当研究室で掲げているテーマは下記の二つです。

① 野生動物の保全に関わる病理学的研究
 当研究室では野生動物・動物園動物を中心とした病理検査を実施しています。様々な野生動物の症例を病理学的に解析し、データを蓄積することで、野生下の動物の新興疾病発生のモニタリング、希少な動物の動物園内飼育・繁殖(生息域外保全)などに貢献します。具体的には環境省の保護増殖事業に基づいて動物園で飼育されているニホンライチョウの病理検査や、アマミノクロウサギなどの奄美群島の希少な野生動物の死因調査などを行っています。

② 動物の腫瘍性疾患の診断病理学的、分子病理学的研究
 伴侶動物の腫瘍について、細胞形質と遺伝子発現の解析、組織発生の解明、診断困難な腫瘍の同定など、腫瘍の診断と治療の発展に貢献する研究を行うことで、ヒトや動物の医療に還元することを目指しています。特にイヌの乳腺腫瘍の課題については精力的に取り扱っています。

指導方針

 研究の前提として基本的な病理検査技術と病理診断知識の習得から始めます。基本的な病理学の技術と知識に加えて、細胞培養、遺伝子解析、免疫組織化学、in situ hybridization等の専門的な実験手法を学んだ後に、上記のテーマの研究課題に取り組みます。希望する大学院生には、研究と並行して病理系の資格の取得に向けた指導も行います。

その他

 当研究室は、2007年に動物看護系学科において初めて設置された病理学研究室です。獣医保健看護学科学生の動物病理学および動物形態学教育と、獣医療病理検査技術者の育成を行っています。

主な学術論文

1. Yoshimura H, Moriya M, Yoshida A, Yamamoto M, Machida Y, Ochiai K, Michishita M, Nakagawa T, Matsuda Y, Takahashi K, Kamiya S, Ishiwata T. (2021).
Involvement of Nestin in the Progression of Canine Mammary Carcinoma.
Vet Pathol, 58, 994-1003
DOI: 10.1177/03009858211018656
2. Yoshimura H, Otsuka A, Michishita M, Yamamoto M, Ashizawa M, Zushi M, Moriya M, Azakami D, Ochiai K, Matsuda Y, Ishiwata T, Kamiya S, Takahashi K. (2019).
Expression and Roles of S100A4 in Anaplastic Cells of Canine Mammary Carcinomas.
Vet Pathol, 56, 389-398.
DOI: 10.1177/0300985818823772
3. Yoshimura H, Matsuda Y, Yamamoto M, Michishita M, Takahashi K, Sasaki N, Ishikawa N, Aida J, Takubo K, Arai T, Ishiwata T. (2018).
Reduced expression of the H19 long non-coding RNA inhibits pancreatic cancer metastasis.
Lab invest, 98, 814-824.
DOI: 10.1038/s41374-018-0048-1
4. Yoshimura H, Kimura-Tsukada N, Ono Y, Michishita M, Ohkusu-Tsukada K, Matsuda Y, Ishiwata T, Takahashi K. (2015).
Characterization of Spontaneous Mammary Tumors in Domestic Djungarian Hamsters (Phodopus sungorus).
Vet Pathol, 52, 1227-1234.
DOI: 10.1177/0300985815583097
5. Yoshimura H, Nakahira R, Kishimoto T.E, Michishita M, Ohkusu-Tsukada K, Takahashi K. (2014).
Differences in Indicators of Malignancy Between Luminal Epithelial Cell Type and Myoepithelial Cell Type of Simple Solid Carcinoma in the Canine Mammary Gland.
Vet Pathol,51, 1090-1095.
DOI: 10.1177/0300985813516637
6. Yoshimura H, Michishita M, Ohkusu-Tsukada K, Takahashi K. (2011).
Increased Presence of Stromal Myofibroblasts and Tenascin-C With Malignant Progression in Canine Mammary Tumors.
Vet Pathol, 48, 313-321.
DOI: 10.1177/0300985810369901

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