伴侶動物分子腫瘍学

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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

落合 和彦 -OCHIAI Kazuhiko-

学位 : 博士(獣医学)(岐阜大学)
職位 : 准教授
KAKEN研究者番号 : 30550488
ORCID ID : 0000-0002-5736-0598
主たる研究テーマ
伴侶動物のがん関連遺伝子に関する研究
研究キーワード
遺伝子、蛋白質、がん、細胞生物学、分子生物学
場所 : D棟3階 獣医衛生学研究室
E-mail : kochiai(@mark)nvlu.ac.jp

研究内容

 ヒトは様々な動物を家畜化し、長年にわたって品種改良を進めてきました。その中でイヌは約1万年前に家畜化されて以降、驚異的な速さで他に類を見ない品種多様性を獲得しました。私は「イヌで乳腺腫瘍発症が非常に多いこと」、「イヌは品種多様性が大きいこと」に関連性を見出し、イヌを乳腺腫瘍発症機構解明および、種の進化速度決定因子のランドマークに出来るのではないかと考え研究を進めています。ヒトで遺伝性乳がん原因遺伝子であるBRCA2という遺伝子は、その変異が乳腺腫瘍発症に繋がります。BRCA2はDNAの2本鎖切断時にRAD51等の相互作用分子と協働し、相同組換え修復を行ってゲノムの安定性を維持しています。相同組換え修復は、配偶子形成時の父母由来染色体シャッフルにも密接に関与しています。乳腺腫瘍が多く、品種多様性に富むイヌはこの機構に特徴があるのではあるのでは?と予測し、関連分子群の相互作用様式の解析と相同組換え効率の数値化と比較を中心に研究を行っています(研究内容イメージ図参照)。

 また、伴侶動物の多様ながん関連遺伝子の変異検索と機能解析も行っており、新規の早期遺伝子診断法や治療戦略の開発も行っています。

指導方針

 これまでに、3名の獣医保健看護学専攻博士前期課程の大学院生指導経験があります。指導方針としては、学生の状況に合わせて最適な指導を学生と対話しながら進めることを心がけてきました。学部を卒業して就職した学生は、同じ時期に収入を得ながら社会で様々なスキルを身に着けます。一方、大学院生は、学納金を支払いながら学業を続けます。そのため、在学中により多くのスキルを身に着け、将来への可能性を拡げる指導を行うことが、大学院指導教員の責任だと思っています。
 研究者のタマゴである大学院生が、日々自分の成長を感じ、社会で活躍する同級生に負い目を持たないで研究を続けられるよう、目に見える成果の獲得を目指した研究指導を行っていきます。論文や学会発表などの研究業績は将来への可能性の具現化であるとともに、様々な金銭的サポートに繋がるチャンスの種でもあります。その価値を学生と共有し、戦略的な大学院生活を目指します。

主な学術論文

1. Kawakami S, Ochiai K. et al. (2020).
(大学院生筆頭著者、2019年度獣医保健看護学専攻博士前期課程修了)
Novel canine isocitrate dehydrogenase 1 mutation Y208C attenuates dimerization ability.
Oncol Lett., 20(6):351.
DOI: 10.3892/ol.2020.12214
*イヌのグリオーマ原因遺伝子の新規変異の発見とそれに伴う機能変化を解析
2. Uemura M, Ochiai K, et al.. (2020).
(大学院生筆頭著者、2021年度獣医保健看護学専攻博士前期課程修了)
The canine RAD51 mutation leads to the attenuation of interaction with PALB2.
Vet Comp Oncol, 18(2):247-255.
DOI: 10.1111/vco.12542
*イヌRAD51遺伝子変異が引き起こす分子機能変化を解析
3. Kawakami S, Ochiai K. et al.. (2018).
(大学院生筆頭著者)
R132 mutations in canine isocitrate dehydrogenase 1 (IDH1) lead to functional changes.
Vet Res Commun, 42(1):49-56.
DOI: 10.1007/s11259-017-9707-8
*イヌのグリオーマ原因遺伝子IDH1の変異および機能変化を解析
4. Kawakami S, Ochiai K. et al.. (2018).
(大学院生筆頭著者)
Functional alteration of canine isocitrate dehydrogenase 2 (IDH2) via an R174K mutation.
J Vet Med Sci, 80(1):85-91.
DOI: 10.1292/jvms.17-0362.
*イヌのグリオーマ原因遺伝子IDH2の変異および機能変化を解析
5. Kato Y, Ochiai K. et al., (2017).
(大学院生筆頭著者、2017年度獣医保健看護学専攻博士前期課程修了)
Canine REIC/Dkk-3 interacts with SGTA and restores androgen receptor signalling in androgen-independent prostate cancer cell lines.
BMC Vet Res, 13(1):170.
DOI: 10.1186/s12917-017-1094-4.
イヌ難治性前立腺がん発症機構に関わるSGTA遺伝子の機能解析
6. Kato Y, Ochiai K. et al.. (2015).
(大学院生筆頭著者)
Molecular cloning of canine co-chaperone small glutamine-rich tetratricopeptide repeat-containing protein α (SGTA) and investigation of its ability to suppress androgen receptor signalling in androgen-independent prostate cancer.
Vet J, 206(2):143-8.
DOI: 10.1016/j.tvjl.2015.08.002.
*イヌ前立腺がん増悪因子SGTAの構造および機能解析
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