動物生体防御学

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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

指導教員名:有村 裕
職位:教授
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KAKEN研究者番号:10281677
主たる研究テーマ:
1)アレルギー疾患の発症機序に関する研究
2)心理的ストレスが免疫系に与える影響とその仕組みに関する研究
研究キーワード:免疫応答、アレルギー、心理的ストレス、細胞内シグナル伝達
場所:E棟5階 動物生体防御学教室
E-mail:arimura2013●nvlu.ac.jp
※●を@マークに変換してください。

研究内容

1)アレルギー疾患の発症機序に関する研究
ヒトのアレルギー疾患の感受性には個人差があるように、マウスにおいても感受性に系統差が存在します。アレルギー疾患において中心的な役割を果たしているIgE、マスト細胞、さらにはT細胞の機能について異なるマウス系統を比較することで、またアレルギー性皮膚炎モデルの疾患感受性を比較することで、発症機序を理解するヒントを得るために研究しています。加えていわゆる「衛生仮説」と寄生虫の関係についても明らかにすべく遺伝子操作が容易な線虫C. elegansをマウスに投与して免疫応答がどう変化するか、アレルギー疾患感受性が変化するかを解析しています。
2)心理的ストレスが免疫系に与える影響とその仕組みに関する研究
ヒトも動物もあらゆるストレスを受けながら過ごしていますが、ストレスは免疫機能にも影響を与えていることが知られています。ストレスは主に副腎皮質ホルモンと交感神経系を介して体に影響を与えますが、その時、免疫応答の種類、免疫細胞の集団構成にどのような影響が起きているのかを、遺伝子改変マウスを利用しながら、各細胞ごとに分子レベルで明らかにするべく研究しています。

指導方針

 生体防御機構そのものは、多種多様な微生物への対応または共存の方法として発達してきたと思われます。しかし実際には、生体防御機構が行っていることは、しばしば感染防御とは無関係のことにまで及んでいます。例えばアレルギーは現代人の多くが苦しんでいる疾患ですが、少なくとも感染が先行する疾患には見えません。むしろ感染が減少して生じた疾患という理解の方が一般的です。免疫関連疾患の原因を理解するためには、この機構が持っている感染防御の側面とその他の側面の両方に目を向ける必要があります。免疫応答および免疫関連疾患について現在どのように研究が進められているか、また過去のどんなことが現在の理解につながっているかに目を向けることが必要です。
 大学院生には、これらの免疫系の特性と学術的背景を認識してもらい、何が問題になっているかを把握した上で、未解決の課題について、それを解き明かすための新しい研究手法と研究結果の解釈の仕方、科学的な考え方を身に着けられるよう指導していきます。

主な学術論文

1.Nagashima M, Koyanagi M, Arimura Y. Comparative analysis of bone marrow-derived mast cell differentiation in C57BL/6 and BALB/c mice. Immunol. Invest. 48(3): 303-320 (2019).
2.Koyanagi M, Kawakabe S, Arimura Y. A comparative study of colorimetric cell proliferation assays in immune cells. Cytotechnology 68(4): 1489-1498 (2016).
3.Arimura Y, Shimizu K, Koyanagi M, Yagi J. Effects of protein tyrosine phosphatase-PEST are reversed by Akt in T cells. Cell. Signal. 26(12): 2721-2729 (2014).