研究内容
現在わが国の農畜産業は、気候変動対策、生物多様性保全等の地球環境問題やアニマルウェルフェアへの配慮といった社会的要求に応えつつ、食料の安定的供給の基盤を維持することが求められています。また、人口減に伴う需要減少と農村社会の変容にも対処しなくてはいけません。
これら複数の要請に同時に応えるためには、産業として再生産可能な価格水準とそれを補完ないし代替する各種の政策支援に加え、環境問題に典型的な「市場の失敗」への対処が必要とされます。さらに、継続が困難になりつつある地域資源管理の共同、協働の仕組みを手直しして次世代に引き継ぐことも重要な課題です。
本分野ではフィールドワークを通じて事例の実態把握と比較分析を行い、社会経済の変化のトレンドが個々の農畜産業経営や農村地域においてどのような形で現れているか、経営・経済的課題の克服に向けてどのような模索や試行錯誤が行われているかを解明します。また、現在実施されている諸政策が経営や地域にもたらしている効果と影響にも着目します。これらに基づき、今後わが国の農業、農村の発展に向けた課題と展望、必要とされる施策のあり方を考究します。