ニュース news

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

【新着論文】二酸化炭素マイクロバブルは野菜からの農薬除去効果を促進する

論 文 名:
Effect of electrolyzed water and carbon dioxide microbubbles on removal of diazinon and diazoxon.
和訳)ダイアジノンおよびダイアゾキソンの除去における電解水および二酸化炭素マイクロバブルの効果
著  者:
小林 史幸1)、青木 仁史2)、鎌形 潤一2)、小竹 佐知子1)
1)日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科 食品工学教室
2)株式会社ニチレイフーズ
掲載雑誌:
Journal of Food Process Engineering, 2022 Feb 45(2), e13963.
John Wiley & Sons, Inc.
doi.org/10.1111/jfpe.13963.
研究内容:
 青果物の生産・保存のために農薬の使用は必要不可欠ですが、過度の使用による人・動植物・環境への負荷が懸念され、近年においても基準値を超える農薬が青果物から検出されることがあります。そのため、青果物中に残留した農薬を食品加工の段階で除去することができれば消費者が摂取する可能性を減らすことができます。これまでにも青果物からの農薬除去方法は検討されていますが、より簡便で画期的な方法を開発し続ける必要があると考えています。電解水は塩酸や塩化ナトリウム(NaCl)などの電解質を含む水溶液を電気分解して得られる水溶液であり、殺菌や洗浄などに用いられています。また、食品工学教室では二酸化炭素マイクロバブル(CO2MB)による殺菌や洗浄の研究を行っており、農薬の除去にも効果を発揮するかもしれません。そこで本研究では、電解水およびCO2MBによるブロッコリーに付着させた有機リン系殺虫剤であるダイアジノンの除去について検討しました。また、電解水には薄い塩酸を電気分解して得られる微酸性水を用いることが多いですが、今回の実験ではより安全で容易に扱うことができるNaCl水溶液から作成した電解水(NaCl電解水)を使用しました。その結果、NaCl電解水にダイアジノンおよびその酸化物の一つであるダイアゾキソンを分解する効果があることを確認しました。水洗いによるブロッコリーに付着させたダイアジノンの除去効果は44%でしたが、CO2MBを加えることにより68%まで高まりました。さらに、NaCl電解水による洗浄でのダイアジノンの除去効果は40%でしたが、CO2MBを併用することで91%まで高めることができました(図)。また、NaCl電解水ならびにNaCl電解水とCO2MBの併用ではダイアジノンおよびダイアゾキソン自体を酸化分解していることも確認しました。以上の結果から、NaCl電解水とCO2MBの併用が青果物からの農薬除去に有効であることが認められました。
 本研究の一部は株式会社ニチレイフーズとの共同研究により実施しました。

■研究者情報

小林 史幸(応用生命科学部食品科学科 食品工学教室・准教授)

小竹 佐知子(応用生命科学部食品科学科 食品工学教室・教授)

■関連ページ

【新着論文】香辛料はサバ干物から発生する魚臭を著しく抑制する