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【新着論文】リラキシンの免疫抑制機構を解明!リラキシンは免疫力を低下させ妊娠の維持に貢献する。

論 文 名:
Relaxin contributes to the elevation of monocytic myeloid-derived suppressor cells in peripheral blood of pregnant canines
和訳)妊娠犬の末梢血液で増加する骨髄由来免疫抑制細胞はリラキシンが関与する
著  者:
小林 正人、関根 帆南、小川 裕司、外山 心、小向井 勇希、中村 元、三反田 龍介、林 万里菜、小林 正典、堀 達也
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科獣医臨床繁殖学研究室
掲載雑誌:
Journal of Reproductive Immunology, 2022 Nov 155:103778.
doi: 10.1016/j.jri.2022.103778
研究内容:
 半異物である胎子は正常に母体で発育することができるのは、胎子に対する母体免疫反応が抑制されているためです。一方、この免疫抑制機構が正常に働かない場合、母体免疫が胎子を排除するため、流産の原因になります。そのため、この免疫抑制機構を明らかにできれば、新たな不育治療や不妊治療に展開することができると考えられますが、妊娠中の免疫抑制機構は未だ解明されていません。
 本研究では、妊娠中の免疫抑制機構を解明するため、妊娠犬の末梢血液の解析を行いました。その結果、免疫を強力に抑制する骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)が妊娠犬の血液で増加することを新たに発見しました。また、ホルモン解析により、このMDSCの増加はリラキシンが誘導していることを明らかにしました。
 本研究は、妊娠中に分泌されるリラキシンがMDSCを誘導して母体の免疫抑制に関与することを初めて報告したものであり、本研究成果は獣医療やヒト医療における不育治療や不妊治療に貢献すると考えられます。

■研究者情報

小林 正人(獣医学部獣医学科 獣医臨床繁殖学研究室・助教)

小林 正典(獣医学部獣医学科 獣医臨床繁殖学研究室・准教授)

堀 達也(獣医学部獣医学科 獣医臨床繁殖学研究室・教授)