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【プレスリリース】森林総合研究所と日本獣医生命科学大学が共同でアライグマにおけるマダニの寄生状況を調査
―より多くのマダニを運ぶアライグマはオス、顔と耳に集中するマダニ寄生

国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所(茨城県つくば市) と日本獣医生命科学大学(東京都武蔵野市)は、神奈川県三浦半島のアライグマにおけるマダニの寄生状況を詳しく調査し、オスのアライグマがより多くのキチマダニを運び、特に冬に寄生するマダニが増加することがわかりました。また、マダニはアライグマの顔と耳に集中して寄生していることも確認されました。これらは、アライグマにおけるマダニ調査を定量的で簡便に行う方法を提案する成果となります。本成果は6月6日に日本哺乳類学会が発行する『Mammal Study』で公開され、Vol.49 (3)に掲載されます。


 アライグマは、日本ではペットとして北米から輸入された個体が野生化し、外来種として定着しました。在来種を捕食して在来生態系への影響を及ぼすほか、多様な環境に適応するアライグマは都市部に定着して、家屋侵入などの被害を起こすことが知られています。さらに、近年は感染症を媒介するマダニの宿主として機能していることが示されています。

 そこで、森林総合研究所と日本獣医生命科学大学の野生動物学研究室は、神奈川県三浦半島のアライグマにおけるマダニの寄生状況を詳しく調査しました。その結果、オスのアライグマがより多くのキチマダニを運び、特に冬に寄生するマダニが増加することがわかりました。

 これはマダニがアライグマの体表上で越冬し、春の訪れとともに吸血して、繁殖に備えることを示唆しています。さらに、マダニはアライグマの顔と耳に集中して寄生していることも確認されました。これらの知見は、野生動物管理による感染症予防対策に向けて、アライグマにおけるマダニ調査を定量的で簡便に行う方法を提案するものとなります。

 本成果は、6月6日に日本哺乳類学会が発行する『Mammal Study』で公開され、Vol.49 (3)に掲載されます。



【論文情報】

掲載誌:
Mammal Study
論文タイトル:
著者名:
Kandai Doi, Takuya Kato, Minori Kono, Fumiaki Yamasaki and Shin-ichi Hayama




■Mammal Study
 https://www.mammalogy.jp/en/journal/index.html

○国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
 https://www.ffpri.affrc.go.jp/ffpri.html

○日本獣医生命科学大学 野生動物学研究室
 https://www.nvlu.ac.jp/veterinary-medicine/members/019.html



▼研究に関する問い合わせ先
国研 森林総合研究所

研究担当者:野生動物研究領域 土井 寛大
広報担当者:森林総合研究所 企画部 広報普及科 広報係
TEL: 029-829-8372
FAX: 029-874-3720
E-Mail: kouho(@mark)ffpri.affrc.go.jp

日本獣医生命科学大学
野生動物学研究室 加藤 卓也
TEL: 0422-31-4151
FAX: 0422-34-6201
E-Mail: tkato(@mark)nvlu.ac.jp



▼本件に関する問い合わせ先

事務局 事務部 入試課
住所:〒180-8602 東京都武蔵野市境南町1-7-1
TEL: 0422-31-4151
FAX: 0422-33-2094
E-mail: kouhou(@mark)nvlu.ac.jp



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調査地域

▲調査地域

  • マダニ採取を行ったアライグマの部位

    ▲マダニ採取を行ったアライグマの部位

  • 吸血したキチマダニ

    ▲吸血したキチマダニ

季節ごとのキチマダニ寄生数

▲季節ごとのキチマダニ寄生数

アライグマ体表上におけるキチマダニ寄生重度の分布

▲アライグマ体表上におけるキチマダニ寄生重度の分布