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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

【新着論文】日本で飼育されている猫の鼻腔・鼻咽頭疾患に関する新規研究
① 猫の鼻咽頭狭窄に対するバルーン拡張術の最適な治療プロトコルの提案
② 麻酔を用いない検査所見を組み合わせて、猫の鼻腔・鼻咽頭疾患(腫瘍、鼻炎、鼻咽頭狭窄)を予測する

論 文 名:
1) Evaluation of factors associated with recurrence in 47 cats undergoing balloon dilation for nasopharyngeal stenosis.
(和訳)バルーン拡張術を実施した鼻咽頭狭窄の猫47頭における再発に関する因子の調査
2) Construction of a Diagnostic Prediction Model for Feline Nasal and Nasopharyngeal Diseases in Japan Using Noninvasive Examinations.
(和訳)日本の鼻腔・鼻咽頭疾患を有する猫における、非侵襲的な検査を用いた診断予測モデル作成
著 者:
1) 藤原 亜紀1)※、後藤 匠2)、大島 嵩史2) 、坂之上 翔太3)、谷口 哲也1,4)
  鉄 治慶2)、中澤 優太2) 、遠藤 泰之3)
1. 日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学科 臨床獣医学部門 獣医放射線学研究室・准教授
2. 日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学科 臨床獣医学部門 獣医放射線学研究室
3. 鹿児島大学 共同獣医学部 臨床獣医学講座
4. 兵庫ペット医療センター東灘
研究代表者
2) 藤原 亜紀1)※、中澤 優太2)、大島 嵩史2) 、後藤 匠2)、猪野 雅俊2)
  濱本 裕仁2)、竹内 由則3) 、金本 英之4)
1. 日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学科 臨床獣医学部門 獣医放射線学研究室・准教授
2. 日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学科 臨床獣医学部門 獣医放射線学研究室
3. 東邦大学医学部医学科 社会医学講座 医療統計学分野
4. ライフメイト動物高度動物医療センター八王子
研究代表者
掲載雑誌:
Journal of Feline Medicine and Surgery, 27(7) 1098612X251340050,2025,
Sage Journals
doi : 10.1177/1098612X251340050.
Veterinary Medicine and Science,11(2) e70296,2025,WILEY
doi : 10.1002/vms.3.70296.
研究内容:
① 猫の鼻咽頭狭窄は、長期間にわたり徐々に進行する鼻詰まりの症状が特徴で、咽頭疾患で多く認められ、その治療法はバルーンカテーテルを用いた拡張術(以下バルーン拡張術)が第一選択治療として用いられています。しかしながら、これまで猫の鼻咽頭狭窄に対する報告は少数の症例報告であり、この疾患の特徴、治療による予後や予後に関する因子は報告されていません。そこで本研究では鼻咽頭狭窄と診断し、バルーン拡張術を実施し、予後を半年以上追跡できた猫47頭の臨床情報を解析しました。その結果、症状の再発に関係なく短期間で複数回バルーン拡張術を実施した場合は、単回の拡張を実施した場合よりも有意に再発が少なく(P<0.001)、1年無再発率はそれぞれ88%、38%となりました。本研究は猫の鼻咽頭狭窄に関する初の大規模な調査となり、バルーン拡張術の最適なプロトコルを提案しています。
② 日本の猫における鼻腔・鼻咽頭疾患には腫瘍、鼻炎、鼻咽頭狭窄が多く、これら疾患の症状やX線画像所見は類似するため、確定診断を行うには全身麻酔下でのMRIもしくはCT検査、内視鏡検査、病理組織検査が必要になります。しかしながら、全ての猫がすぐに全身麻酔の検査を実施できるわけではありません。本研究では全身麻酔下の検査で確定診断を行なった116頭の鼻腔・鼻咽頭疾患の猫の情報をもとに、年齢、品種、症状に加え全身麻酔を用いないX線検査による所見を複合的に組み合わせて腫瘍、鼻炎、鼻咽頭狭窄を予測するモデルを3つの方法で作成しました。その結果、特に腫瘍は比較的感度・特異度ともに高い値で予測できることがわかりました。本研究で作成したモデルを使用して、非侵襲的な検査による病気の予想ができれば、腫瘍や鼻咽頭狭窄など治療のために全身麻酔を用いた検査や処置が必要な病気を早期に検出し、適切な治療を提案することができるようになると考えられます。
(文責:藤原亜紀)

■研究者情報

藤原亜紀(獣医学部 獣医学科 臨床獣医学部門 獣医放射線学研究室・准教授)