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【新着論文】サンマから新種の寄生虫を発見!ミトコンドリアDNA解析で魚類寄生虫の進化に迫る

論 文 名:
Polyphyly and Deep Evolutionary History of Piscine Coccidia: Mitochondrial Genomics of a New Goussia Species from Pacific Saury (Cololabis saira)
(和訳)魚類コクシジウムの多系統性と深い進化史:サンマ由来Goussia属の新種のミトコンドリアゲノム解析
著  者:
洪沛航1,2)※、常盤俊大1)※†、俞斯嘉2)、周洵2)
1. 日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学科 獣医寄生虫学研究室
2. 台湾 国立中興大学 獣医学部 獣医学科
共同第一著者、責任著者
掲載雑誌:
Journal of Eukaryotic Microbiology
DOI:10.1111/jeu.7011
研究内容:
 日本獣医生命科学大学と提携校である台湾・国立中興大学の共同研究グループは、サンマの肝臓から、単細胞生物の寄生虫である Goussia属(アピコンプレックス門・アイメリア亜目)の新種を発見しました。直径約20 µm(1 mmの50分の1)という極めて小さな寄生虫で、調査した21尾のうち19尾から検出されました。本研究では、形態観察に加え、ナノポアシーケンサーを用いたゲノム解析を行い、海産魚に寄生する Goussia属として初めて完全なミトコンドリアゲノムの解読に成功しました。
 さらに、遺伝子系統解析の結果、これまで同じグループとして分類されてきた Goussia属が、実際には複数の異なるグループから構成されることを明らかにしました。また、進化の年代を推定する分子時計解析により、海水魚と淡水魚に寄生するグループが約2億年前に分岐した可能性が示されました。これは魚類寄生性コクシジウムの進化の歴史に新たな知見をもたらす発見です。
 本研究は、魚類寄生性コクシジウムの分類体系を再検討するうえで重要な知見を提供するとともに、私たちの身近な生物にも、いまだ知られていない多様な寄生虫が存在することを示す成果です。一方で、Goussia属と宿主魚類との関係や、魚類の健康に与える影響については不明な部分が多く残されています。今後は、生態や病気との関わりを含めたさらなる研究が求められます。

 なお、今回発見された新種を含め、魚類に寄生するGoussia属については、これまで人や家畜への感染性は報告されておらず、人への健康影響は知られていません。

■研究者情報

常盤 俊大(獣医学部 獣医学科 獣医寄生虫学研究室・准教授)